2015年1月にリリースされた、刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』。アニメ、舞台、ミュージカル、実写映画と次々打ち出されたメディアミックス作品も大きな話題になり、社会的ブームを巻き起こしたビッグコンテンツだ。
そのひとつ、アニメ『刀剣乱舞-花丸-』の新作「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」を手掛けたのが、プロデューサーの礒部慧利氏。三部作である本作は、第二幕「月ノ巻」が7月8日から公開予定だ。礒部氏のインタビュー最終回となる今回は、この『刀剣乱舞』というコンテンツ全体の魅力、そして本作を手掛けた先に見据える次の挑戦を聞いた。
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できるだけ多くの刀剣男士の魅力を見せたい一心で
――礒部プロデューサーは、『刀剣乱舞』というコンテンツ全体の魅力を、どんなところに感じていますか。
『刀剣乱舞』は本当に素晴らしいコンテンツだと思ってます。日本刀は基本的にはこの世に1本しかなくて、その刀自身に物語がある。それは彼らを作った刀工の物語であったり、持ち主の物語であったり、いろいろな物語が1本の刀の中に既に存在している。その仕組みがまず素晴らしいですよね。そして、歴史ってどれが正解かはわからないじゃないですか?
――諸説あったり、新しい事実がわかったり。
既に物語を持ちながらも、そういう風に広がりを持って、お客さんに解釈を委ねている。そういう存在を取り上げた着眼点が素晴らしいと思いました。キャラクターのデザインも素晴らしくて、すべてのキャラクターが魅力的ですし。コンテンツが持っている可能性が本当に大きくて、優れたコンテンツだと思いますね。
――『刀剣乱舞』は一大コンテンツですから、「興味はあるけど、どこから入ったらいいかわからない」という方も、実は多いのではないかと思います。
そういう方にとって「花丸」は、比較的入りやすい作品だと思います。あまり気負わず「お気に入りの刀剣男士を見つけてみよう」くらいのテンションで映画館に来てくださったら嬉しいです。そして気付いたときには沼にはまっているのではないかと(笑)。本当に魅力的なキャラクターがたくさんいますから。
――「この刀剣男士はどんな過去を背負っているんだろう?」と想像しながら観てみると、より楽しめるかもしれませんね。
その辺りはキャラクターの衣装がヒントになりますよ。元の持ち主の意匠が入っていたり、同じ刀工による刀は同じ系統の衣装だったり、ビジュアルでも彼らの物語が表現されているので。興味が湧いたらぜひその流れでゲームもやってみて、このコンテンツ全体にハマっていただけたら嬉しいです。
――ではゲームをやりこんでいるディープなファンに向けて、この三部作の見どころを教えていただけますか。
私たちはゲームの設定やセリフから「花丸」のストーリーやキャラクターを生み出していますが、いつもこのゲームが持つ魅力に感動させられています。もしかしたら「花丸」での解釈を「ちょっと違うな」と感じる方もいるかもしれませんが、私たちは原案ゲームと『刀剣乱舞』というコンテンツを大事にしながら、皆さんにできるだけ多くの刀剣男士の魅力的なところをお見せしたいという気持ちで作っています。
今回もアニメーション制作の動画工房さんが、後ろにいる刀剣男士にもちょっとした仕草をさせたりして、キャラクターの芝居をすごくたくさん入れてくれたので、ぜひそういう細かいところまでご覧いただけたら嬉しいです。