存在自体が謎に包まれた能楽師・犬王。その存在に、大胆かつ自由に声を吹き込んだのは、カリスマ的人気を誇るバンド・女王蜂のボーカル、アヴちゃん。そして、犬王の相棒となる、盲目の琵琶法師・友魚には、俳優としてだけでなく、ダンサーとしても活躍する森山未來が声優として参戦した本作。今回は二人の対談が実現。その出会いと湯浅政明監督作品の魅力と魔力を語り合う。
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湯浅作品の突破力
――まずはお二人が湯浅監督作品に抱いていた印象から教えてください。
アヴちゃん 私は、子どもの頃に、湯浅監督が手掛けた初期の『映画クレヨンしんちゃん』シリーズを観ているんです。なので、すごく以前から作品は拝見していて。大人になってから好きだなと思ったのは『DEVILMAN crybaby』。こちらは私自身作品に関わらせてもらったんですが、もともと『デビルマン』が好きで、子どもの頃から『デビルマン』の“シレーヌになりたい!”って思っていました。でも、もともとの『デビルマン』の原作は子どもが観ちゃダメなマンガだと思う(笑)。
森山 確かにそうだよね(笑)。
アヴちゃん 『DEVILMAN crybaby』は、ある意味“アニメだったらここまででしょ”というタガが外れた作品なんですよね。そこに湯浅監督の凄まじさ、問答無用の突破力を感じました。アニメを媒介にして、こんなにも人を傷つけるのか!って思いました(笑)。
森山 僕は湯浅監督の『夜は短し歩けよ乙女』が好きですね。とにかく作画が斬新で、時空が飛んだり、歪んだり……。
アヴちゃん 超越力!
森山 そう、そんな感じなんだよね。四次元以上ってこんな感じかもと想像させられるようなアニメで、すごく魅力的だと思いました。