好評放送中のアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』特集の後半がいよいよスタート! 後半では、「バレエという舞台芸術をアニメーションで表現する」という本作の試みにフォーカスを当てた特集を展開予定だ。まずは『3月のライオン』や『美少年探偵団』といった、シャフト作品で活躍してきたアニメ演出家・大谷肇にインタビュー。本作に「バレエ演出」として参加している彼の役割や、バレエをアニメーションで描く面白さを語ってもらった。(全3回)
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一度読んだだけで「絶対やりたい」と思った
――大谷さんは本作に「バレエ演出」として参加されていますが、どういった役割を担われているのか、教えていただけますか。
実は「バレエ演出」と言いながら、バレエの専門知識があるわけでもないド素人なので、自分でも「なんでこんなクレジットにしちゃったのかな……」と思っているんですが(笑)。バレエというジャンルを扱う上で、「作画に専門のスタッフが必要なら、ディレクターにもそういうポジションが必要なのでは」という意見が、チームの総意として出てきたんです。そこにちょうど僕がいたので、じゃあ、という流れでこうなりました。でも自分ではバレエシーン専門というより、機動力のあるポジションだと捉えています。そもそも僕がこのチームに参加したのは途中からで、皆さんより勉強不足も甚だしいので、この肩書きはちょっとおこがましいと言いますか……。
――そうだったんですね! 本作にはどういった経緯で参加されることになったのでしょうか。
これまではシャフトでお仕事をやらせてもらっていましたが、違うテイストの作品をやってみたいなと思い、MAPPAのプロデューサーさんを紹介してもらったんです。そのときに「こういう作品をやってみませんか」とお話をいただいて、『ダンスール』の原作を読んでみたんですね。そうしたら一度読んだ段階で「これはもう絶対やりたい!」と思ったので、すぐに連絡して参加させてもらうことになりました。それがモーションキャプチャーの撮影直前くらい、ちょうど1年前くらいです。
――機動力のあるポジションとのことですが、どういった部分を担当されているのでしょうか。
具体的に言うと、2話の『白鳥の湖』舞台シーン、都(CV.本渡楓)が公園で踊るシーン、ラストの潤平が路地で踊るシーンのコンテと演出。3話の流鶯(CV.内山昂輝)が体育館で踊るシーンの演出。5話のコンテ演出。それから10話の後半パートのコンテ演出、11話Aパートのコンテ演出です。
――いずれも劇中で大きな意味を持つ、重要な踊りのシーンですね。
そうですね、音楽に合わせないといけないということで、コンテの段階からかなり難易度が高いシーンではあります。普通だとあまりやらないような作業なので、突然やろうとすると勝手が違いすぎてできないだろうということで、その部分を僕が担当している感じです。