木村昴インタビュー(3)生まれる場所は選べなくても、どう生きるかは自分で選べる/劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』(『輪るピングドラム』)特集の画像
劇場版場面カットより(冠葉)

現在、「WEB声優MEN」では、劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編]君の列車は生存戦略』のインタビュー特集を展開中。トップバッター・木村昴インタビューの最終回は、本作が『輪るピングドラム』10周年プロジェクトであることにちなんで、まずは「10年」をキーワードにした質問から。幅広いジャンルで活躍する木村昴らしい、ユニークでパワフルな言葉の数々を楽しんでほしい。(全3回)

 

※ ※ ※

 

「木村は一体何者なんだ?」と言われたい

設定資料より 高倉冠葉

――放送された2011年から10年以上経ちましたが、10年前のご自分を振り返ってみて、大きく変化した部分やまったく変化していない部分はどこでしょうか。

 

アフレコやお芝居の技術的な部分は大きく変わっていると思うので、同じ台本を渡されても当時と同じことはしないと思いますし、できないと思います。でも基本的な性格や考え方は全然変わっていませんね。

 

――では、10年後にこうなっていたいというビジョンはありますか。

 

僕の声優としての夢のひとつに、海外の作品に俳優として出演して、その日本語版吹き替えを自分でやるというのがあります。渡辺謙さんはそれをやってらっしゃるんですが、声優がやるのはあまりないんじゃないかなと思うので、それを10年以内に叶えられたらかっこいいなと思ってますね。僕は夢が多いタイプなので、何でも挑戦してみたいんです。今も自分で劇団を作ったりアパレルブランドをやったりと、もの作りや自分の考えを形にすることが好きなので、映画監督もいつかやってみたいことのひとつです。

 

――チャンスはこうして言葉にすると舞い込むものですから、いずれお声が掛かるかもしれませんよ。

 

そんなチャンスをもらえたら、即行でやりますね! チャンスをもらわなくても、自分で動き出すかもしれません(笑)。あくまで自分は声優だという自覚と軸はあって、何事にも声優としてトライしているので、僕自身はブレていないんですよ。その上でいろいろなことに挑戦して、10年後に「で、木村って何者なんだ?」と言われたいですね。それは僕にとって褒め言葉なので(笑)。

芸事の言葉に「多芸は無芸」というものがあって、何でもできるのは何もできないのと同じだから、ひとつの道を究めろという意味なんですね。でも僕は「多芸はすげえ」と思ってて(笑)。何でもできたほうが楽しいに決まっているし、せっかくこうして芸事の世界にいるんだったら、ひとつの道を究めるよりも僕はいろいろなことをやってみたいです。

 

――「失敗したらどうしよう」と思うことはありませんか。

 

まったくないですね。何事にも失敗はつきものだと思いますが、やってみないと失敗するかどうかわからないんだから、だったらトライしたほうがいいと思うんです。後から「やっぱりやれば良かった」と思うのが一番ダサい。もし人から「そんなの失敗するよ」と言われても、僕はまだやってないんだから、まずは挑戦してみようと思います。そこで実際にやってみて失敗したら反省しますが、最初から失敗を想定して何もしないのは嫌ですね。

 

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