声優・堀江瞬さんが映画を語り、その映画に登場する料理を手掛け、なおかつ実食する本企画。今回は、『クレイマー、クレイマー』(1979年)より、ダスティン・ホフマンが作るフレンチトーストの味を再現!
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堀江瞬さんが映画に出てくる料理を作る書籍「ホリエル、シネマる。」掲載の本企画。「WEB 声優MEN」版として内容をあらためた今回は、アカデミー賞はじめ、数々の賞に輝いた映画『クレイマー、クレイマー』。ダスティン・ホフマンの代表作の一つにして、両親が別居して、父と暮らす少年の姿を楽しくも切なく描いた人間ドラマ。本作に登場するのは、父・テッドが息子のために作るフレンチトーストです。映画は堀江さんの心に染みた様子で……。
物語と記憶がよみがえった映画
Q.堀江さんはフレンチトーストを作られたことはありますか。
「小学生のときに一人でよく作っていたので、今回はその体験が生きたのかなと思います(笑)。そのときは牛乳に卵を溶かして、食パンを浸して焼き、メープルシロップとグラニュー糖をまぶして、おしゃれにして、ファミレスのフレンチトースト感を出していました(笑)」
Q.今回のご覧いただいた『クレイマー、クレイマー』は、両親が子どもが別居し、子と父が暮らす中、やがて過熱して、親権を争う裁判になるお話です。仕事に子育てに奮闘するダスティン・ホフマンがフレンチトーストを作るシーンがありますね。
「前半と後半に父と子がフレンチトーストを作って食べるシーンがあるんです。最初はちょっと不慣れな感じで、そのふたりが微笑ましかったです。ただ、僕にとって映画の内容はただ辛かった。僕は両親が離婚して、母のもとで育ってきたんですが、その経験があったからか別居する夫婦の子ども・ビリーにすさまじく感情移入してしまったんです」
Q.なるほど。母のジョアンナ(メリル・ストリープ)は、やや感情的なキャラクターに描かれています。
「だからこそ、メリル・ストリープ演じる母の身勝手さは、観ている間、拭い切れないままでした。結局、両親の仲の良し悪しの犠牲になるのはいつも子どもなんだと思いましたね」
Q.その目線でいえば、父役のダスティン・ホフマンは?
「ダスティン・ホフマン演じるテッドは理想のお父さん像ですよね。いまでこそ、父親も家事をするのが当たり前ですが、この映画が撮られた時代を考えると彼はすごく懸命だと思いますし、仕事を辞めてでも子どものためにガムシャラに必死になる彼が素晴らしいんです。そして、息子のビリー役の子のお芝居がとても繊細で、本当に胸を掴まれた作品でした」
映画とともに、フレンチトーストを見事に作ってくれた堀江さん。未見の方は、ぜひこの映画の中で家族3人がワンショットに収まる瞬間があるのかどうかを注視しながら観てみてください。そこに親子と夫婦の愛情の行方が描かれているはずです。次回の再現料理もお楽しみに!
<過去記事>
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定価:2,200円 (本体2,000円)
判型:B5判
出版社:双葉社
ISBN 978-4-575-31596-7
●堀江 瞬 Shun Horie
5月25日生まれ。大阪府出身。15年に声優デビュー。近年の主な出演作: 『ヴィジュアルプリズン』(ロビン・ラフィット)、『魔王イブロギアに身を捧げよ』(イブロギア)、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(チウ)、『ドラゴン、家を買う。』(レティ)、など。19年にKiramuneレーベルにて、SparQlewのメンバーとしてCDデビュー。アーティストとしても活動中。