■色あせない骨太なミステリー

『ポートピア連続殺人事件』の舞台は、兵庫県神戸市。ベテラン刑事である主人公(通称ボス)は金融会社「ローンやまきん」の社長・山川耕造が殺された事件を、部下の真野康彦(通称ヤス)とともに捜査していきます。

 証拠を集めてアリバイを崩したり、さまざまな謎を解きながら、新しい展開が広がっていきます。アドベンチャーゲームらしい手探り感と、良質のミステリー小説を読んでいるようなストーリー展開が本作の魅力。

 山川耕造をめぐる人間関係や周囲のアリバイを調べていくうちに、多重債務や詐欺、麻薬取引など、今の時代でも色あせないキーワードが次々と出てきます。当時はどうしたらクリアできるかを目標に遊んでいましたが、大人になってあらためてプレイすると、また違った視点から純粋に物語が楽しめます。

 殺された山川耕造のとった行動の是非はともかく、その真意には理解できる部分があり、それぞれのキャラクター性までしっかり深く描写されていることに気づかされます。今さらながら堀井雄二氏のシナリオの奥深さに感心させられました。

 子どもの頃は分からなかった“大人の事情”が理解できる今だからこそ、あらためてプレイしてみるのは面白いかもしれません。

画面はシンプルながら、ミステリー小説にヒケを取らないストーリー展開
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