毎年10月27日は「読書の日」。「読書週間」とされる10月27日から11月9日の1日目にあたり、読書を促進する名目で制定された記念日だ。そこで今回は、漫画・アニメ作品に出てくる「読書が趣味」なヒロインたちに注目。本の虫の彼女たちがどんな本を読んでいるのか探っていきたい。
■『涼宮ハルヒの憂鬱』長門有希
まずは、読書家ヒロインの代名詞と言っても過言ではない『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希。無口なメガネ女子で窓辺でいつも本を読んでいる、いかにも文学的な彼女だが、その正体は「情報統合思念体」によって作られた「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」である。
謎めいたキャラクターだけあって、読んでいる本のジャンルもかなり個性的。たとえばアニメ第3話では、長門が『暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで』という本を手にしているところが描かれていた。同書は実在する本で、世界的ベストセラーであるサイモン・シンの『The Code Book』を邦訳したもの。古代より存在していた暗号の歴史的な出来事を分析し、暗号の重要性や進化の歴史について記した一冊だ。また作中では、長門がキョンに『ハイペリオン』という書籍を貸すエピソードも。こちらはダン・シモンズによる古典SFで、28世紀の未来を舞台として惑星「ハイペリオン」をめぐって繰り広げられる物語。「暗号」、そして「SF」と、どちらも宇宙人である長門と関連性がありそうな書籍となっていた。
雑誌『ザ・スニーカー』2004年12月号では、彼女の本棚にある作品を紹介する「長門有希の100冊」という企画が行われたことも。そこでは国内外のSFからエラリー・クイーンの『ギリシア棺の謎』や京極夏彦の『魍魎の匣』といった本格ミステリ、とりみきの『クレープを二度食えば。』といった漫画まで、さまざまなジャンルの本がラインナップ。さらに“三大奇書”として有名な夢野久作の『ドグラ・マグラ』や哲学書の大著・ヘーゲルの『精神現象学』といった本の名前も挙がっており、これら100冊を順に読んでいくだけで、長門有希の思考にお近づきになれそうで楽しそうだ。