■主人公・和紗に降りかかったある日の事件

 そして主人公の小野寺和紗。この子の悩みを軸にストーリーは進んでいきます。和紗は地味で私にはなんの特徴もないと悩んでしまうようなめちゃくちゃピュアでいい子。そんな和紗が唯一仲のいい男子は学校でモテモテの幼なじみ・典元泉。和紗とはご近所で小さい頃から遊んでいて、昔は自分より小さい泉を守ってあげていたという萌エピソードも背景にあり、モテモテの泉に対し和紗自身は子ども時代の面影を感じていて特に異性としては意識していません。

 そんなある日、家族ぐるみで仲のいい和紗は両親が留守の泉のために夕飯を持って行きます。泉はリビングにおらず、二階の部屋から音楽が流れていたので部屋を開けると……。

 見ちゃうんですよ。アレをですよ。泉が1人でアレをしてるところを。自分の中で変わらず子どもだと思っていた泉。でもやっぱり身体は成長していてそういうことに興味もある。これまったく変なことじゃないんだけど、その事実に衝撃を受ける和紗。頭はそのことでいっぱいになってしまい、性に振り回されたくないと葛藤する。

 まさに性春ですよ。銀杏BOYZの世界観を少女漫画に落とし込んだような。

 物語はここから始まり、5人のそれぞれの葛藤、そして恋愛と素敵な青春群青劇とともに進んでいきます。はたして和紗と泉はどうなっていくのか。気になりますね。

 僕は男なんで男性の悩みは人生で死ぬほど聞いてきましたよ。高校時代の性の悩みだっていろいろ語ったし聞いてきました。でも女の子のこういう悩みだったり葛藤だったりって聞いてこなかった。それを女性がタッグを組んでこういう漫画を作る。素晴らしいじゃないですか。だからこそこの作品は深い。若い男子に読んでほしい。俺も若い頃に読みたかった、僕はもう大人で周りにこんなピュアな女の子がいないから。つい先日も、同世代の女友達が大人の女子会の下ネタは想像を超えるえげつなさだと言っておりました。それはそれで楽しいからいいんだけども。

 全8巻と読みやすいですし、アニメもドラマもございます。とにかくどんなかたちでもいいから、この作品に触れてほしい。ステキな作品です。

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