若い頃に読みたかった! 女子の“性の悩み”描く『荒ぶる季節の乙女どもよ。』の素晴らしさ【パンサー菅・コラム】の画像
パンサー菅

 どうも皆さん、私吉本興業でパンサーという野鳥研究会で主に紅白歌合戦の白組の札を計測しております菅良太郎と申します、以後お見知り置きを。私、38歳男子なのですが、少女漫画が好きでこのふたまん+で少女漫画についてのコラムを書かせていただいている次第でございます。さて今回紹介させていただくのは、岡田麿里さん原作による絵本奈央さんの漫画『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でございます。

 こちらどんなお話か、公式から引用させていただきます。あなたの“はじめて”を、わたしにください――。和紗たちは文芸部に所属する女子5人。部が「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じた「セックス」のひと言……。その瞬間から、彼女たちは“性”に振り回され始める。

 すごいあらすじ。女子高生5人が“性”に振り回される。この字面からお下品な話なのかと思いきやとんでもない、超青春群像劇でございます。なぜなら原作はあの岡田麿里さん。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』などで知られる青春ものでは右に出るものがいないと言っても過言ではないヒットメーカーでございます。

 物語は文芸部のメンバーが読書会という、みんなで一つの小説を音読しあうシーンから始まるのですがいきなりインパクトがすごい。街中でたまたま志茂田景樹さんを見かけたことがあるんですけど、そのときと同じくらいのインパクト。

 そのシーンは第1巻の1ページ目から。

「少女の白い肢体 その下腹部の柔らかな茂みの前に 私は跪いた」

 って女子高生が小説を音読するとこから始まるんですよ? すごくないですか?

 そのあともう少し直接的な表現を音読して読み終えると、性に対しめちゃくちゃ厳しい部長が「直接すぎる描写ね、最近の道端先生の作風は文学とポルノをはき違えてると思う!」と怒り気味で考察に移っていくんですね。このバランスの取り方が非常にうまい。

 エロ目的で読んでいるわけではなく、文芸が好きがゆえに読まざるをえないし、興味がないわけでもないという絶妙さを、絵本奈央さんの表情豊かな作画ですぐに理解させてくれる。

 そして文芸部というどちらかというと地味な部活に焦点当てて、部員5人(1人を除く)を全員学校でもあまり目立たない地味目な子な設定にしているのも素晴らしい。というのも周りのチャラいクラスメイトたちはもう経験があったり性に対してオープンなところがあったりする。この周りとの落差によって彼女たちの性に対しての悩みがより浮き出てくるんですね。

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