■“二枚目半”がハマった、アニメ『うる星やつら』面堂終太郎
神谷明の“名脇役”を語るうえで欠かせないのが高橋留美子漫画が原作のアニメ作品。1981年から86年にかけて放送されたアニメ『うる星やつら』で、神谷明は主人公・諸星あたるのクラスメイト・面堂終太郎を演じた。同作はあたると、宇宙から来た押しかけ女房・ラムが巻き起こす“ドタバタ”ラブコメディ。神谷が演じた面堂終太郎は、学園アニメに必ず一人はいる“お金持ちキャラ”でもあり、容姿端麗・秀才・運動神経抜群と三拍子そろった完璧な人間。しかし男に対して非常に冷たい性格で、あたるとは毎度のように衝突している。上下白色の学ランを着込み、常に日本刀を帯刀しているという強烈なキャラクターだ。
面堂はキリッとしたイケメンキャラから途端にコメディキャラへ変わってしまうこともしばしば。面堂のようなギャグキャラを演じたことについて、神谷は2015年に出演した『NHK趣味どきっ!一声入魂!アニメ声優塾』で、「自身のターニングポイントになった」と述懐。それまでは二枚目路線で突っ走っていたが面堂役としてむき出しの人間性を演じられたことがのちの『キン肉マン』へもつながったと語っていた。
■典型的なライバルキャラもお手のもの!アニメ『めぞん一刻』三鷹瞬
また高橋留美子の作品でいえば、神谷はアニメ『めぞん一刻』でも名脇役を演じている。同作は『うる星やつら』と双璧をなす高橋の代表作で、これまでドラマ化をはじめ幾度となくメディアミックスが展開されてきた。物語は、古い木造アパート「一刻館」を舞台に管理人の音無響子と浪人生・五代裕作の恋模様を描いたドラマで、個性的な人々が集う一刻館の賑やかな日常が描かれた。
神谷は響子の通うテニスクラブのコーチ・三鷹瞬を演じ、作品に大きな華を添えていた。三鷹も容姿端麗・お金持ち・高学歴というハイスペックなキャラクター。唯一の欠点は犬が嫌いなことぐらいで、ユーモアな一面まで持つ完璧な人物で、まさに神谷のハマり役だったのではないだろうか。
そのほか、『YAWARA!』の風祭進之介役や、『超時空要塞マクロス』のロイ・フォッカー役、『アニメ三銃士』のアトス役、『名探偵コナン』の初代毛利小五郎役などなど多くの名脇役を務めてきた神谷明。多彩な演技でこれからも作品に華を添えてもらいたい。