■「スーツアクター」という呼び方でカッコよさが理解されやすくなった
スーツアクターという言葉が浸透する以前、まったく知らない人からは「デパートとかのヒーローショーの中に入るやつでしょ?」と、ほぼこんなようなことを言われたものです。「いや、ちょっと違うんだけどなー」と思いつつ、理解してもらえないところがあり、そのままにしていた時期もあります。
あと、よく言われるのが「あれ、ピンクの中身おっさんなんでしょ?」というもの。確かに“おっさん”が入ってる場合もありますが、そういうことじゃないんだと。“スゲェおっさん”なんだと。「孫悟空の声、おばさんでしょ?」「いや、そういうことじゃないんだ」っていうのと同じ気持ちです。「野沢雅子さんすごいよな! あの人じゃなきゃ孫悟空じゃないよ!」って思うでしょう? それと同じです。◯◯さんが演じるからそのキャラクターが生きるわけですし、理由がしっかりあってキャスティングされてるわけですからね。これを「スーツアクター」という言葉でバシッと理解してもらいやすくなった点ではすごくいいなとは思いました。
今ではその"スーツアクター"を目指している人はたくさんいますし、憧れの仕事になっていると思います。永徳さん(現在放送中の『仮面ライダーゼロワン』では、仮面ライダーサウザー、仮面ライダー迅を担当。平成ライダーでも数々演じてきた人です)みたいに、ヒーローが好きで現場に行った人でも、舞台などで素顔でお芝居をしたりCMに出たりなど幅が広がっている気がします。
声優さんが顔出したり、歌を出したりなど、キャラクターに乗せずにその人個人で活躍したり、逆に役者さんが「声優」としてキャラクターに乗せたりするのと同じような気がします。高岩成二さんという役者さんが「スーツアクター」として仮面ライダーというキャラクターに乗せているときもあれば、高岩成二さんという役者さんでのお芝居をするときがある。みたいなことですかね。