■バトルシーンがやっぱりすごい!
今回コラムを書こうと思って読み返しましたが、やはり鳥山明先生はスゴいのひと言。最大限の褒め言葉として言いますが、なんて読みやすい絵なんだ!
ストーリーもかわいくてステキなんですが、やはり描写がエグい。(専門的なことは分からないので、感じただけですが)
数々の同業者から「別格」扱いされるはずです。
こっからガチの考察です。特にそう感じたのが格闘シーンです。『COWA!』にも少しですが格闘シーンが出てきます。街のゴロツキと戦ったり森のモンスターと戦ったりと、まあまあシンプルな格闘シーンです。そこには必殺技とか出ないんですよ。ただパンチやキック、俊敏な動き、それだけなんですが、「見られる」んですよね。
見てられるんですよ。なんなら見入ってしまいます。今存在する漫画で、格闘シーンを「能力」とか「必殺技」とか「バックボーン」(病気の息子のために必ず勝たないといけない、みたいな設定)を使わずに見られる漫画ってありますか? おそらくないんじゃないでしょうか?
これが天才と言われるゆえんなんじゃないでしょうか。天才と言われた名プロレスラーのジャンボ鶴田や武藤敬司。彼らのすごいところは、「シンプルな技で客を盛り上げることができる」点にあると思うんです。ジャンピングニーやエルボー、そんな基本の技で満員のお客さんを熱狂させるんです。
鳥山明もそれなんです!!!(興奮して呼び捨てすいません)
鳥山明はジャンボ鶴田なんです! ジャンボ鶴田なんか、客を盛り上げるアクションも実にシンプル。右手を上げて「オー!」と言うだけですよ。でも天才が「オー!」というもんだから、満員の客も全員「オー!」と言うんです。天才はすごい!
……もう少ししゃべらせてください。(しゃべりたくなってきてるやん)
表現がやはりすごいんですよね。COWA!を読んで、ドラゴンボールのバトルのすごさをあらためて確認したんですが、特に、ナッパがやったやつ。
悟空とナッパの戦闘で、それまで天津飯やクリリンたちを一方的に痛めつけていたナッパが、手も足も出せずやられてしまう場面があるんです。攻撃がまったく当たらず、おまけに悟空に頭の上に乗られ、ナッパはぶちギレるんです。こんな下級戦士に俺のようなエリートがやられるなんて、と。そこで一度はぶちギレかけるんですが、ベジータに一喝されて落ち着きを取り戻します。
そして一息つき、右手を出してチョキの形の人差し指と中指を「クンッ」て擬音とともに上に立てると、ナッパの周りが、なんて言ったらいいんでしょう「全方位に気みたいなエネルギーを放出させる」みたいな技を出すんです。
何あの技!?
あれを思いついて表現できるのがエグいんだと思います。それも技の名前とか叫ばずやるんですよ!「クンッ」だけ!
普通は言いたいよ。
「はぁ~~~くらえ!全方位!釈迦魔弾!!!」
とか言いたいよ普通。
「ロックしたぜカカロットよ……。フフフフフ、いくぜ? 吹き飛べ!! タイタンガンマ砲!!!!」
とか言いたくなるよ普通は。
それを何も言わずにあんなエグい表現をスッとやってしまうんだもんな~。それが天才。
鳥山先生は『ドラゴンボール』終了後に、『COWA!』を執筆。そしてその後にも、1998年に『カジカ』。2000年に『SAND LAND』。2013年に『銀河パトロール ジャコ』と、少年ジャンプで短期連載をしてくれました。
今年5月18日発売の『週刊少年ジャンプ』では、とうとう社会現象になるまで大ヒットした『鬼滅の刃』の連載が終了しました。
ですが、現在のジャンプには『呪術廻戦』や『僕のヒーローアカデミア』や『約束のネバーランド』などなど、そのほかにもたくさん、みなさんに読んでほしい、面白い連載作品がまだまだあるので大丈夫。ですが、もし! もし、少年ジャンプがピンチになるようなことがあれば! そのときにはまた、あのときに駆けつけてくれた悟空のように、鳥山明先生の登場も楽しみにしたいところです!