■鳥山明の絵本風短編『COWA!』

 いまだにアニメ化や映画化やゲーム化もされ、世界中にファンがいるドラゴンボールの存在が大きすぎて目立たないですが、鳥山先生の他の短編もかなりの名作があります。その一つが『COWA!』です。

 ストーリーは、人とオバケがともに暮らすこうもり岬に突然大流行したお化け風邪。西に住む魔女のみが作ることのできる薬を求め、人とオバケが手を組み魔女の薬を買いに旅に出る。というお話。吸血鬼の子ども・パイフーくんたちと、かつて相撲で人を殺めてしまったという謎の元力士・丸山さんとが旅の中で心を通わす、ロードムービーのようなワクワク感があります。

 週刊少年ジャンプは1995年にドラゴンボールが終わり、発行部数が激減したと言われています。そして1996年SLAM DUNKも連載終了。そういう僕も思春期に入り、いつの間にかジャンプから離れていました。

 そんなジャンプが苦しいと思われる1997年に14話のみの短期連載というかたちで始まったのが、『COWA!』です。カバー裏のコメントでは「二度と週刊連載はやらないと決めていたのですが、つい描くはめに……」と前担当だった編集長のために筆をとったと書いてます。誰かがピンチのときに駆けつけてくれるっていう登場の仕方、少年ジャンプの主人公そのものじゃないですか。鳥山先生かっこよすぎません?

 地球がサイヤ人に攻められてZ戦士が次々とやられていく、もうダメだ! そう助けを懇願したときに、駆けつけてくれた悟空そのものじゃないですか。

 一番、悟空やん。

 この『COWA!』はドラゴンボールとは違い、絵本のような表現法がとられた漫画です。すごく良い作品で大好きです。ご本人も「すべての作品の中でいちばん大スキなマンガであります」と語っておられます。まさかのドラゴンボール超えです!!!

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