■隠し階段発見のあとも試練は続く…
このいきなりワープの理屈に気づくと多少は先へ進めます。そうするとようやく、敵に遭遇する。するとフィールド上では死ぬほど遅かったキャラが、素早く動けるようになるのですが、それ以上に死ぬほど早く動く敵が、縦横無尽に画面上を駆け回り、何もできずに即死!
「ああ、しんじゃった」と表示されゲームオーバーになってしまいます。
実は単にボタンを連射して、間を開けず棒を振り回していれば無敵になり、勝つことができるんですが、なんとも雑で大味な作りです。しかもこの無敵技を覚えたとしてもすぐクリアとはいかず、ワナも仕掛けられている広大すぎるマップを、ノーヒントで1マス1マス歩き回るしか攻略できなかった。まるでドットイートゲームです。
後に海の上を歩ける裏技が明かされたり、攻略本によって天竺が西にあることが広まったりで、5分もかからずにゲームクリアする技が発見されます。それらを駆使し、僕の周りの友人たちは、みんなこれでこのゲームはひとまずクリアということで、それきりタンスの奥に封印していました。
80年代のファミコンブームはすさまじく、カセットを出せばクソゲーだろうと100万本売れる可能性があった時代です。『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』もテレビコマーシャルをバンバン打ち、テレビ番組と連携したイベントやプレゼント企画などなどがすごかったので、このあまりの「クソゲー」ぶりを知らずに購入してしまったちびっ子も多かったことでしょう。おまけに今作にはバグを利用した、ちょっと子どもには見せられない制作者からの隠しメッセージまであるんですが、大人になってそれを知って2度目の衝撃を受けた人もいるはず。その話はまた別の機会にでも……。
とにかく、「音楽だけ良い」「開始直後に何していいか分からない」「最初のポイント(街やワープ点)が見えない」「歩く速度がドラクエなどと比べると半分ぐらいの遅さ」などなど『星をみるひと』との類似点も多いRPG『スーパーモンキー大冒険』。
『星をみるひと』がまさか2020年に配信されるとは思いませんでしたが、この流れで『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』も配信して全世界に再び衝撃を与えてみてはいかがでしょうか!