■事件後を丁寧に描く、いくえみ漫画
いくえみ先生の作品は、こういった事件が起きた後に、それに関わった人々がどういった生き方をしていくかが、丁寧に描かれます。
例えば、突然訪れた大切な人の死。
受け止めて前に進み出す人、受け止めたかのように生きていく人、その中一人そのときから動き出せずにいる人。
そこに正解はなく、様々な人生の送り方が提示されていきます。
『いとしのニーナ』でも、このショッキングな事件から、厚志とニーナを中心とし各々のこの事件に対する落としどころが描かれていきます。そこにある許し。進み方と捉え方。男である、女である、といった違い。そのような行動に至った経緯。「事件」という遠い世界で起こったように見えていたものが、いつの間にか登場人物たちに感情移入していきます。
そこの根底にあるのは、こんがらがってしまった「人を好きになる」気持ち。
事件にまつわる描写も各々の感情も、苦しくなるところも多々あります。
この物語を読み切ったとき、いつかの自分にとって救いとなるところがある方も多いのではないでしょうか。
「そんな格好をしていれば、そんなことをされても当たり前だ」
悪いことをされても、その犯行を助長する原因を作った自分を責めなければいけないのか。優しい性格を持ち、好きな格好をしているだけで目立ってしまう女子高生のニーナ。時代を超えて考えさせられるこの物語。
ぜひドラマ配信の前には、電子書籍もおすすめです!