■独特すぎる推理シーン

きいてみれば……って。

 本作はアドベンチャーなので、周りの人に話しかけたり細かい場所を調べたりするんですが、選択肢が「きいてみれば」「あげてみれば」「みせてみれば」という独特なコマンドだったのが画期的。「きいてみれば」を選ぶと「はんにんのこと」や「なまえ」などが選べ、「みせてみれば」を選ぶと「かお」や「ほほえみ」や「おへそ」を選択できます。

 このコマンドが脱力系なのは置いておいて、すべての人に話を聞いていけば詰まることも考えることもなくスッとクリアできます。また登場キャラがことごとくボケてくるのがいちいち気になります。また、主人公がボケるコマンドもあったりして……。おまけにそれを選択すると、おもしろいとほめられて、太田プロに入ることを勧められたり……これはこれで太田プロに失礼なのではと思ったりもします。

見せてみれば……でコレなのも移植が難しい理由?

 そして苦労して犯人を見つけても、「わたしがはんにんだよ、スケートをかえすよ」と気さくに和解したり。これまでの推理はなんなんだと、最初から最後まで脱力感満載のゲームなんです。

 このゲームの内容を知ってか知らずか、これ以降、ジャニーズ事務所のタレントさんの名前を使用したゲームはいっさい作られていません。このゲームがそうさせたのかどうかは、アトランチスの謎よりも謎です。

 ちなみに、80年代には数多くのタレントゲームが生まれ、その多くが「クソゲー」として語り継がれてきました。ラサール石井さんの『ラサール石井のチャイルズクエスト』(1989年)は、ギャグとパロディ満載な内容が賛否両論を呼んだものの、システム自体は良ロープレとも言えます。

 TMネットワークによる『TMネットワークライブインパワーボウル』(1989年)も歴史に残るクソゲーとして名高いですが、グラフィックは素晴らしく、おまけに本人たちの楽曲入り。ツアーのトレーラーを運転するレースゲームがあったり、即死要素もあったり、ある意味楽しめる展開で、僕は良ゲーとして評価しています。

 タレントものは、ビートたけしさんの『たけしの挑戦状』のように、ご本人がよほど寛大でない限り、肖像権などいろいろ権利が絡むので、移植が難しいタイトルが多いのですが、光GENJIも含む80年代の歴史的ゲームを一斉に移植してほしいところ。その攻めに攻めまくった内容で現代のゲームキッズに衝撃を与えてほしいものです。

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