■40~50代が推すヤンキー漫画の金字塔とは?

 ヤンキー漫画の黄金期ともいえる80、90年代。その不良漫画全盛の時代を通過してきた40~50代の男性ファンからは202名の回答が集まり、思い入れの強い熱いコメントが目立った。

 第3位(12%)は、加瀬あつし氏の『カメレオン』(講談社)。00年まで『週刊少年マガジン』に連載された作品で、実はケンカの弱い矢沢栄作が、ハッタリと強運だけで高校不良界を生き抜いていくという異色作だ。学力は低いがIQ140と知能は高く、持ち前のひらめきで危機を回避していくのが面白い。

「主人公が変で面白い」(43歳・男性)、「ヘタレの主人公が運と周りの勘違いだけで成り上がってゆくさま」(48歳・男性)、「矢沢が起こす騒動が毎回面白かった」(43歳・男性)といった理由が挙げられており、普通の不良漫画とは一線を画するギャグテイストの成り上がりエピソードが人気のようだ。

 同じく第3位となったのは、佐木飛朗斗氏・所十三氏による『疾風伝説 特攻の拓』(講談社)、1991年から97年まで『週刊少年マガジン』で連載された同作は、主人公・浅川拓を中心に横浜の暴走族の抗争を描いた物語。天羽セロニアス時貞、マー坊、一条武丸などキャラも豊富で、「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった」など当て字を使用したセリフも人気にひとつ。

「ぶっこみ読んでバイクにハマったクチです」(43歳・男性)、「気弱な主人公が成長していくところがかっこいい」(47歳・男性)、「キャラクターが全員魅力的でした。セリフを今でも言えます」(41歳・男性)といったコメントが集まった。

 第2位(16%)は、森田まさのり氏の『ろくでなしBLUES』(集英社)。同作は、『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』、『幽遊白書』など、『少年ジャンプ』の黄金期と呼ばれる作品と同時期に連載されていただけに、強く記憶に残っているファンも多い様子。同作もアニメ化されたが、当時の連載作品の半数以上がアニメ化されるという空前のジャンプブームだった。

 そんな『ろくでなしBLUES』を選んだ人からは「喧嘩がリアルだった」(43歳・男性)、「学生のケンカ物としては抜群のデキの良さ」(45歳・男性)、「やみくもにケンカするワケではなく、友情だったり、ケンカ以外のところで笑いもあった」(44歳・男性)といった意見が寄せられていた。

 そして40~50代の28%の票を集め、ぶっちぎり1位に輝いたのは、きうちかずひろ氏の『ビー・バップ・ハイスクール』(講談社)。『週刊ヤングマガジン』誌上で、83年から03年までの長期に渡って連載された不良漫画の金字塔だ。ツッパリ高校生コンビのヒロシとトオルがケンカや恋に明け暮れる日常がリアルに描かれ、当時の中高生に大ヒット。コミックス第8巻の初版発行部数は227万部を記録し、14年に『進撃の巨人』が超えるまで講談社の漫画本の最高記録だった。

「ギャグとバイオレンスのギャップが面白い」(46歳・男性)、「主人公が無敵ではないところが良かった」(55歳・男性)、「ドラマも漫画も面白かった」(51歳・男性)といった理由があり、俳優の仲村トオル(54)&清水宏次朗(55)主演の実写映画のほうも印象に残っている人が多いようだった。

 またその他には、宮下あきら氏の『魁!!男塾』や、どおくまん氏の『嗚呼!!花の応援団』、立原あゆみ氏の『本気!(マジ)』などが挙がった。

 時代の移り変わりとともに減少傾向にあることは否めないが、いつまでも色褪せることのないヤンキー漫画たち。令和の日本で、これらに負けない魅力的な新作が生まれることを期待したい。

アンケートサイト「ボイスノート」調べ
https://www.voicenote.jp/

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