徳井青空
徳井青空

 みなさんこんにちは、声優の徳井青空です。2020年。今や利用しない日はないインターネット。特に何かを調べるときには検索サイトが欠かせない。「気になったら今すぐ〇〇で検索!」などと、とにかくすべてのものが検索に誘導されている。あなたは初めて検索したワード、覚えていますか?

 平成元年生まれのわたくし。小学校のころ、パソコンの授業があった。パソコンがクラスの人数分置かれたパソコン室。おそらくパソコンへ日光が直接当たらないよう、大きな窓には常にブラインドが降りていた。さらにパソコンに熱がこもらないように、教室はエアコンが効いていた。学校内でエアコンを浴びることが出来たのは保健室と、このパソコン室のみ。当時わたしの家にはエアコンがなかったため、真夏でも涼しい風を感じることができるパソコン室は特別憧れる空間だった。

 初めて出会ったパソコンは、いわゆるブラウン管のディスプレイで、絶対1人では持ち上げられないような奥行きと重量感。スーパーファミコンに似た灰色をしていて、「やっぱり優れた器械は灰色なんだ」と感心した。というのも、そのパソコン室を使うことが出来るのが授業のときと、決まった曜日の休み時間で、休み時間にパソコンを使って何をするのかというと、なんとゲームで遊ぶことが出来たのだ。現在であればYouTubeを見たりするのかな? ゲームももちろんフルグラフィックのオンラインゲームで、いつもの自分のアカウントからログインすれば、学校でも自分のパソコンと同じように遊べるもんね。すごい。

 はたして二十数年前のパソコンで、小学生徳井は何をして遊んでいたのか。それは、リバーシやソリティアのような内蔵ゲームではなく、フロッピーディスクの子ども用ソフト! もうフロッピーを何年も見かけていないし、この話を書くにあたってフロッピーでググれば、検索結果1ページ目の後半はもうLAWSONのロッピーになっちゃってるし、かなり懐かしアイテムになっているようだ。

 そのフロッピーの子ども向けPCゲームがどんなものかというと、主人公の少年が買い物リストをもらうところからゲームがスタート。街に頼まれた物を買いに出かけ、正しく買い物をすることが出来ればクリアというシンプルかつ教育的、田舎のパソコン室にピッタリのゲームであった。それが面白いかどうかはともかく、パソコン室のパソコンは数に限りがあるので早い者勝ち。パソコン室が解放される休み時間には学年関係なく学校中のインドア派が集結し、パソコンの奪い合いが始まるのだ。ブラインドが降りているから校庭ではしゃぐ陽キャのみなさんに気を使うこともないし、何より涼しい。私はパソコンとパソコン室が気になって仕方がなかった。

 では、授業では何をしたかというと、タイピングはもちろん、インターネットについて学んだ。Yahoo!のサイトアドレスを打ち込んでページに飛んでみる。サイトのアドレスを打ち込んでみよとのことで「http://だぶりゅだぶりゅ・・・」と、呟きながら慎重に入力する。パソコンは大変だ……こんないちいちアドレスを打ち込むのかよ……。フロッピーのゲームもパターンが少ないし、やはりゲームボーイが一番だ……などと思っている間に、ブラウン管の分厚い画面にYahoo!のトップページが表示された。

 なるほどなるほど。そこに検索の機能があることを先生から教えられると、当時からとにかく何でも気になっちゃう性分の私の心は一転してまたパソコンに興味が湧いた! 知りたい……情報が……ある!! クラス全員がYahoo!に飛べたかどうか先生が見てまわるうちに授業は終わった。今Yahoo!ページを開く授業があったら2秒で終わりそうだが、とにかく、検索機能が気になる。自由に検索したい欲求でいっぱいになった。

 映画『デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム!』での名ゼリフ「島根にパソコンなんかあるわけないじゃん」よろしく、千葉県・南房総の家庭にパソコンはほとんどなく、憧れの検索を夢見る毎日を過ごしていたとき、とんでもないニュースが飛び込んできた。

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