ムーディ勝山と『金剛寺さんは面倒臭さい』第1巻
ムーディ勝山と『金剛寺さんは面倒臭さい』第1巻

 もういきなり言います。私、ムーディ勝山が今回紹介するのは、とよ田みのるさんのマンガ『金剛寺さんは面倒臭い』です!

 焦ってすみません。もう既に名作の呼び声高い本作ですが、より多くの人に呼んでもらいたいので紹介させていただきます。

 当コラムは「ムーディ勝山が芸人に漫画を紹介する」というテーマ。今回『金剛寺さん』を送ったある先輩芸人ですが、そもそも作品を読んでいただけるのか? という不安要素があるんです。

 なんと……。

 その先輩、あの『ONE PIECE』を途中で読むのを止めた人なんです!!!!!!!

 信じられますか……? あの、あの『ONE PIECE』を、途中で読むのを止めたんです。そんな人間がこの世界に果たして存在するのか?

 否!

 一般の常識や世界観を持って育てば『ONE PIECE』を途中で止めるなんてことはできないはずだ!! 必ず序盤のゾロやウソップやサンジを仲間にするところで心震わせ、ナミのエピソードに涙し、チョッパーの所で虜になるはずだ! それを途中で止めるなんて……UMA? UMAなの?

 しかし、このコラムを読んでくれている読者の皆さまに報告しておこう。その方は今回『金剛寺さんは面倒臭い』を全巻読んでくれた上に、しかも大満足してくれたということを!

 さて、まずはこの漫画のジャンルなんですが、このコラムではまだ紹介したことの無いジャンル、ラブコメでございます。もう凄いです。かなりラブがコメしています。もうラブがコメしてるのか、コメがラブしてるのか分からないぐらいです。

 設定もちょっと変わっていまして、この漫画ではある日地獄との穴が空いてしまって、鬼と共存しているという世界なんですが、その世界で女子高生と高校生の鬼が恋愛する物語なんです。

 ラブコメといえば、ちょっと前で言うとゴリラみたいな顔の体がデカい主人公が、かわいい女子高生と恋をする『俺物語』という漫画がありました。映画化もされ「このマンガがすごい2013」のオンナ編第一位に輝いております。このマンガがすごい、通称「このマン」です。

 さあ同じラブコメである金剛寺さんは面倒臭いですが、同じく「このマンガがすごい!2019」に選ばれているんですが、この漫画の凄い所は「オトコ編」の第2位に選ばれていることなんです。恋愛ものですから女性ウケしそうなもんなんですが、男ウケして2位に選ばれているんです。それは何故か!? その理由を語りだすと実に108個の理由があるので紹介させて頂きます。

 まず108個ある魅力の1つ目!

「オチを先に言ってしまう」

 この漫画、他ではやっていない新しいことをかなりやっていまして、その一つがこれなんです。恋愛もので主人公がデートできるかできないかってかなり大事なポイントですよね?

 それを物語の一ページ目のナレーションで、「最初に言っておこう。この二人はデートができた。今回の物語はデートが楽しかったと言って締めくられることを約束しよう!」と、最初にオチ全部言っちゃうんです。

 他の恋愛もんなら何巻もひっぱってようやくデートにこぎつける所を、この漫画は最初に言います。なんならデートできるかできないかを一話で終わらせます!

 この漫画はオチを先に言うだけではなく伏線も言います。普通伏線って隠して後で「ハッ」となるもんなんですが、この漫画は「読者の皆さん。今のセリフを覚えておいて下さい!……伏線です!」とハッキリ言います(笑)

 他にも一ページ目で「前回は怖いお話で見たくなかった方もおられるだろう。なので今回は猫ちゃんが可愛いというだけの物語です!」と、全部言っちゃうんです。かなり面白いですね。

 108個ある魅力の2つ目!!

「アニメ化不可能。圧倒的漫画の面白さ」

 男ウケしてしまう明確な理由。もうとにかく面白い。僕もこの漫画は「このマン」の2位にも選ばれているし、気持ちとしてはマイナーな中から面白い物を紹介したいという気持ちがあるんですが、発売されたばかりの五巻を読んだら紹介しないというのは不可避の面白さでした。

 アニメ化不可能というのは、漫画にしかできない描写をする、物語をページの上半分と下半分を使って同時二話進行したりするお話があったりするからです。本編とその裏側で起こっていることを同時に見せる。漫画だからこそできること。他にもコマの外、枠外が黒く塗られてる部分は地獄に関する怖いお話、枠外が白い部分がデートやら可愛いお話、「恐ろしいものが見たくないという貴方は白い部分だけお読み下さい!」と記述がある。アニメで再現するの難しそうな表現がオトコの心もくすぐる面白さに繋がっているのでは無いかなと思います。

 後ですね、そうですね。えー、ということで以上、2個の理由を喋らせて頂きました。

 いや、本当に108個言おうと思ったんですが、語り続けると恐らく次のコラムに食い込んでしまうので、残りの106個は皆さんが作品を読んで見付けて下さい。(……べっ、別に他に魅力が見付けられなかった訳じゃないんだからね!)

 何処かのテーマパークのグッズをデザインして欲しい!と思いたくなるキュートでポップで素敵なイラスト。

 読後に訪れる圧倒的な多幸感。

 キュンキュンどころか、SANYOのパチンコ台の確定音ぐらいキュインキュインなっているこの作品!是非ともご覧になってください。

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