5位はジョーカー! X-MENにスパイダーマン…アメコミ「最強極悪キャラ」BEST5の画像
(イラスト・中井仲蔵)

 いまやハリウッド作品の一大ジャンルと化した「アメコミ映画」。2019年は『アベンジャーズ/エンドゲーム』や『ジョーカー』がヒットし、2020年にも『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『ブラック・ウィドウ』『ワンダーウーマン 1984』(原題)など話題作の公開が決定している。

 偉大なヒーローに付き物なのは、強大な敵。

 そこで今回、ふたまん+編集部アメコミ班では、「アメコミのスーパー極悪キャラ」ワースト5の選出会議を実施。4名のスタッフが5時間もの時間と合計32杯ものハイボール(チューハイ、サワー類含む)を費やした熱い議論のすえ、選ばれたのが以下の5人である。

 いずれも日本で公開された映画作品に登場しているので、DVDなどを観る際の参考にしていただきたい。

■第5位:ジョーカー(DCコミックス) 主な敵=バットマン

 コミックス初登場は1940年、『バットマン』誌創刊号。どのようにしてジョーカーが誕生したか、という誕生譚は、80年の間にいくつかのバージョンができてしまったが、大筋では、「もともと売れないコメディアンだったのが、盗みに入った工場の薬品タンクに落ちてしまい、髪は緑に、肌は白く変貌。おまけに精神に異常をきたしてしまい、トランプのジョーカーをモチーフにした極悪人になってしまった」ということになっている。超能力はまったくないのだが、歪んだユーモアと予測不能な行動で、バットマン最大の悪役になった。

 コミックスの中では、バットマンの助手のロビン(2代目)をバットで撲殺したり、同じく仲間のバットガールを銃で撃って下半身不随にしたりと、極悪非道の限りを尽くしている。

 なお、映画『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒース・レジャーは、この役でアカデミー助演男優賞を受賞。2019年に『ジョーカー』で彼を演じたホアキン・フェニックスの演技も絶賛されている。もしかしたら、『ゴッドファーザー』のパート1&2でそれぞれドン・コルレオーネを演じたマーロン・ブランドとトバート・デ=ニーロのように、「同じ役を演じてアカデミー賞ダブル受賞」という快挙を成し遂げるかも?

●主な登場映画

『バットマン』(1989年、演:ジャック・ニコルソン)
『ダークナイト』(2008年、演:ヒース・レジャー)
『ジョーカー』(2019年、演:ホアキン・フェニックス)

■第4位:マグニート(マーベル・コミックス) 主な敵:X-MEN

 マーベルコミックスのX-MENは、超能力を持って生まれた正義のミュータントたちが、世間の差別や迫害に苦しみながらも、悪と戦うという物語である。このミュータントというのは、我々の住む現実社会における「マイノリティ」の比喩になっており、作品内では1960年代のアメリカの公民権運動から大きな影響を受けている。

 そのミュータントの中で、人類との平和的共存を望む穏健派のプロフェッサーXことエグザビア教授で、彼が率いるのがX-MEN。一方、ミュータントの地位向上のために武力行使も辞さないのが、このマグニートである(実際にこの二人は、アフリカ系人民の権利のために活動したマーティン・ルーサ・キング牧師と、マルコムXにそれぞれ例えられる)。

 磁力を操る超能力の持ち主なので、磁石(magnet)をもじってマグニートという、いささか安直なネーミングのこのキャラが初登場したのは『X-MEN』第1号(1963年)。

 かつてエグザビア教授とマグニートは活動をともにする刎頚の友だったが、思想的な相違のために袂を分かつこととなった。現在では、マグニートはエグザビア教授と敵対関係にあるものの、強大な敵が現れたときは連携して戦うこともあるし、『X-MEN』半世紀を超える歴史の中では、エグザビア教授に代わってX-MENを率いたこともある。

 単純に「悪」と割り切ることのできない、深みのある敵役なのだ。

 なお、コミックスにおいては、クイックシルバーとスカーレット・ウイッチの双子の父親ということになっている。

●主な登場映画

『X-MEN』(2000年、演;イアン・マッケラン)
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年、演;マイケル・ファスベンダー)

■第3位:ドクター・ドゥーム(マーベル・コミックス) 主な敵:ファンタスティック・フォー

 日本語に訳せば、さだめし「破滅博士」といったところだろうか。一般には、ダース・ベイダーの造形に非常に大きな影響を与えたとされているキャラクターである。

 初登場は『ファンタスティック・フォー』第5号(1962年)。東欧の小国の君主であり、なおかつ天才的な科学者で、自分で発明した武器を身にまとって悪事の限りを尽くす、いわばブラック・パンサーとアイアンマンを足して闇落ちさせたようなキャラクターなのだ。

 そのうえ、この悪役の設定で斬新だったのは、「外交官特権」を持っているということ。米国で多少の悪さをしても、米国の警察に逮捕されることがないのである。悪いことをしても罰を受けない大人がいる……というのは、当時の純真なチビっ子読者たちに衝撃を与えたのであった。

 ちなみにこのドクター・ドゥームは、もともとはファンタスティック・フォーのリーダー、リード・リチャーズの大学院の同級生である。自分の実験が失敗したのをリチャーズのせいだと思い込み、いわば逆恨みで敵対するようになった。なお、実験が失敗した際には怒りのあまり自国に帰ってしまったので、大学院も卒業していなければ博士号も取得していないはず。ドクターの学位はとんだ嘘ということになる。

 マーベルコミックスを代表する悪役だけあって、経歴詐称などは、取るに足らない犯罪ということなのだろうか。

●主な登場映画

『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』(2005年、演;ジュリアン・マクマホン)
『ファンタスティック・フォー』(2015年、演;トビー・ケベル)

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