『ONE PIECE』の登場でさらに私のオタク活動は加速する。初恋のリザードンから、推しはサンジへと変わった。サンジって声もステキだな、と、思ったのを覚えている。
でもサンジはサンジ。誰かが演じているというところまでは想像できなかった。
小学校高学年になると、少し前までポケモンの話題で盛り上がっていたクラスの女子もジャニーズのアイドルにハマり、ポケモンなんて子どもの見るものよと言わんばかりに3次元を推奨しだす。気がつけば一生懸命に遊戯王のパックをむいて一喜一憂しているのは私と隣の家のボンボン派女子だけになっていた。
そして当時はゴールデンタイムのお笑いバラエティ番組も流行っていた。中学生になると私はだんだん夜更かしさんになって、深夜のお笑い番組をチェック、果てはお笑い芸人を志すほどになっていた。昼間のオタク活動と深夜のお笑い活動で、妙に忙しい毎日を送る少女そらまる。そこで、私はついに運命的な出会いをする。
なんと、深夜に、アニメが放送されていたのだ……!! えっ……、アニメって、朝と夕方に、我々キッズのために放送しているものじゃないの……? こんな時間に放送しても、誰も見ないでしょ……。ん、これは夢か、幻か。なにかの間違いかもしれない。まだインターネットも一般的でなく、テレビ番組の情報は朝刊のラテ欄からしか得られない、アーカイブも見られない時代で、それはそれは衝撃的だった。
セーラームーンのようにスタイルのいい登場人物が複雑な物語を展開している、まったく新しい映像。昼間のアニメとはまた違う、繊細で美麗な作画……。こんな世界があったのかと、目の前がブワーッと広がるのを感じた。
そんな深夜アニメが、いずれ自分の職場(?)になろうとは、そのときはまだ知る由もない。
初めて出会った深夜アニメ。それが『藍より青し』という作品だと知ったのは、出会いの翌週にラテ欄を確認したときだった。他にもあるかもしれないと、番組を探しだす。
これが私のアニメ歴。あなたの初めての深夜アニメ、何ですか。