■無期限活動休止の俳優も...... IWGPメンバーの悲喜こもごも

 以降、次々ブレイクを果たした出演者たちの現在を追ってみると、いろいろと興味深い。主役の「マコト」を演じた長瀬はいまだ第一線で活躍中だが、TOKIOメンバーの不祥事をきっかけに進退がらみの噂が後を絶たない。トリッキー&サディスティックなギャングの頭・通称「キング」を演じた窪塚洋介(40)は、映画や舞台、アーティスト活動に精を出すようになり、ドラマではめっきり姿を見かけなくなった。さらに、凶暴な「ドーベルマン山井」を演じて視聴者にインパクトを与えた坂口憲二(43)は、難病を患い治療に専念するため既に所属事務所を退所している。

 劇中の重要キャラを演じたキャストが必ずしも順風満帆とは言えない立場に置かれているのに対し、佐藤隆太(39)、山下智久(34)、渡辺謙(59)、阿部サダヲ(49)、妻夫木聡(38)、遠藤憲一(58)といった脇を固めた面々の安定した活躍ぶりが目立つ。中でも端役から突き抜けた“一番の出世頭”は、高橋一生(38)ではないだろうか。

 15年放送のドラマ『民王』(テレビ朝日系)での好演をきっかけにブレイクし、ここ数年で一気に演技派俳優としての地位を確立した高橋。しかし、当時まだ無名だった彼は、「マコト」の友人である“ロン毛とメガネがトレードマークの引きこもり男”として、今とはまったく違う地味なビジュアルで出演していたのだ。

 ピンと来なくとも無理はない。当時リアルタイムで放送を見ていた筆者も「一生、いたっけ……?」と首をかしげるほどの登場回数でしかなく、周りのアクの強すぎるキャラクターたちの影に隠れがちであったことは否めない。そして今、20年の時を経て、同じ金曜のTBS系ドラマ『凪のお暇』でヒロインの相手役として堂々たる演技を披露している高橋の姿に、当時の面影を見い出すことは難しい。

 令和の時代に再び脚光を浴びた伝説のドラマ『IWGP』。これを機に、今では実現不可能な“オールスター俳優”たちの競演と若かりし姿を堪能してみてはいかがだろうか。

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