■疑問を常に持ち続けることが大事

 結局、続けるか続けないかだと思うんですよね。どんなに頭悪くても10年間同じことをやったら、モノになりますよ。漫画なんて正解があるものではない。漫画のおもしろさってどこにあるんだろうって考えても、いまだに、僕自身わからないんです。ただ、そういう疑問を常に持ち続けることが大事だと思うんです。

 絶えず疑問を持ちながら、漫画の本質に少しでも近づこうと努力をする。それは間違った方向でもかまわない。大変な作業ですけどね。その過程で自然と漫画家の個性っていうのが出てくるんだと思いますね。

 たとえば、さいとう・たかを先生と藤子不二雄先生の作品を比べたら、まったく違う。もし、さいとう先生にドラえもんを描いてもらったら、さいとう先生にしか描けないドラえもんが、できあがるはずなんです。それが個性。ただ、僕の漫画のどこに個性があるのかって聞かれても、漫画を見てくれとしか説明できない。

 漫画のことを、長い間、研究してもわからないことだらけですよ。ただ、そういうことをああでもない、こうでもないって考えるのが好きなんでしょうね。この歳になると、もう最新のテクノロジーのことなんてわからくなってしまいそうなんですが、僕はYouTubeだって見るし、VRの機械もありますよ。

 VRの技術をどうにか漫画に応用ができないかとか、そういうことを、考えていることが、いくつになっても好きなんですよ。

モンキー・パンチ
1937年5月26日、北海道生まれ。高校卒業後に上京。貸本専門の出版社でアルバイトをしながら、漫画を描くように。貸本文化が廃れていくなか、同人活動を開始。その作品が漫画アクションの初代編集長・清水文人の目に留まり、漫画家デビュー。同誌で67年から連載を開始した『ルパン三世』が大ヒットを記録。50年以上経った今なお愛され続けるキャラクターを生み出した。

 モンキー・パンチ先生と漫画アクションの軌跡を描いた漫画
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