『アンパンマン』は、漫画家で絵本作家のやなせたかし氏(1919ー2013・94歳没)の手によって絵本の中で誕生したキャラクター。1988年にテレビアニメ『それいけ!アンパンマン』(日本テレビ系)が放映開始され、1989年からは年2本ペースで長編アニメ映画が公開されている。また1996年にはやなせ氏の出身地である高知県に『香美市立やなせたかし記念館』が、2007年に『アンパンマンこどもミュージアム』が開館し、現在全国5施設まで増えている。アニメ映画、漫画、ゲームソフト、おもちゃ、グッズなど多数の関連商品が存在し、その総売り上げ額は、2010年の時点で1兆1000億円。2009年には「単独のアニメーション・シリーズでのキャラクター数」がギネス記録にも認定された。
都市伝説その1:ばいきんまんの黒幕はジャムおじさんだった!?
日本を代表する人気キャラクターであるアンパンマンと、その仲間たち。アニメ版は1500話以上が放送されているためさまざまな噂があるが、まずはばいきんまん関連の都市伝説から検証してみよう。
●都市伝説の内容
いわずと知れたアンパンマンの宿敵、ばいきんまんは、パン工場のジャムおじさんが作ったジャムパンマンとして誕生したという噂がある。ジャムパンマンとしての体がカビてしまったため、ジャムおじさんはすべての”良心”を注ぎこんだ中身のジャムを取り出すことにしたというのだ。そして残ったジャムパンマンの体からばいきんまんを、ジャムからドキンちゃんを作ったのだという。それゆえ、ばいきんまんはパン工場を襲わず、「ばいきんまんの黒幕はジャムおじさんだった!」という噂がまことしやかにささかれているのだ。
●はたして、本当なのか?
”ばいきんまん”はバイキン星から卵の状態でやってきたばい菌であることが分かっている。しかも、実はばいきんまんは何度もパン工場を襲撃しているのだ。というわけで「ばいきんまんの黒幕はジャムおじさんだった!」という都市伝説は間違い!
都市伝説その2:初代アンパンマンは人間だった!?
続いてはアンパンマンの誕生秘話を調べてみた。アンパンマンは初代~3代目まで存在していたのをご存知だろうか? この事実を知っている人はあまりいない。それもそのはず、国民的人気を誇ったのは3代目で、初代と2代目はほとんど知られていないのだ。しかも興味深いことに、初代と2代目のアンパンマンは今のイメージとはまったく異なるキャラクターを持っていた。
●初代アンパンマン
1969年に雑誌『PHP』(PHP研究所)で発表された短編メルヘン『十二の真珠』に初登場。人間の顔をした冴えない小太りのオジサンで、できることはパンを焼くことと空を飛ぶことだけだった。長期化する戦争で子どもたちが飢えに苦しんでいることを知ると、薄汚れたヨレヨレのマントをまとってヨロヨロと飛んでは、自分で焼いたアンパンを分け与えに行った。しかし怪しい飛行機と誤認されたのか高射砲で撃ち落とされてしまい、その後どうなったのかは不明のまま物語は終わっている。
●2代目アンパンマン
1973年頃から絵本『あんぱんまん』(フレーベル館)に登場。食べられるアンパンの顔を持つ痩せ型のヒーローという設定で、少々腕白でニヒルな性格の持ち主だった。空へ飛び立ってはおなかを空かせた人を見つけ、自分の頭を食べさせることを繰り返していた。空腹の人を助けるという内容が、子どもたちには難しすぎるということで、当時の評論家や保護者、教育関係者からは評価されなかった。また顔を食べさせるのは残酷だというバッシングを受けたこともある。