■『斉木楠雄のΨ難』握力計を「一周」させて正体バレ回避!?
最後は、ギャグ漫画『斉木楠雄のΨ難』(麻生周一さん)より、第48話で描かれたスポーツテストの様子をお届けしたい。
本気を出せば地球を滅ぼせるほどの超能力を持つ高校生・斉木楠雄は、平穏な日常を望み、正体を隠して過ごしている。そんな彼が「一年でもっとも気を遣う日」と語ったのが、自身の能力が記録として残ってしまうスポーツテストなのだ。少しでも気を抜くと人間離れした能力を発揮してしまうため、斉木は全身全霊の「手加減」で各種目に挑む。
この年のスポーツテストは、クラスメイトの燃堂力と灰呂杵志の熱い勝負に注目が集まっていた。そんな中、斉木はこれ幸いと静かに種目をこなしていく。だが、少し危なかったのが握力測定だ。燃堂の奇行に気を取られた瞬間、うっかり握力計の針を限界まで振り切らせてしまった。
絶体絶命のピンチかと思われたが、斉木は慌てない。さらに力を入れて針を一周させ、男子高校生の平均に近い42kgに持っていく荒業に出る。うまくごまかせた斉木は「順調順調」と内心で語るが、そもそも握力計ってそういう仕組みだったのだろうか……。
そのまま斉木のスポーツテストは平穏に終了。バトル漫画のような「正体がバレるかもしれない」というハラハラ感は薄かったが、正体を隠すことに慣れ切った斉木のスマートな立ち回りが愉快なエピソードだった。本筋である燃堂と灰呂の白熱した勝負も面白いので、未読の方はぜひ読んでみてほしい。
秘密とは、物語における大切なスパイスだ。誰かと秘密を共有するだけで特別な関係性が生まれ、それが暴かれそうになる展開はスリリングで目が離せない。“バレてはいけない”という制約は、物語を大いに盛り上げてくれる要素なのだ。
「身体測定」というイベントでなし崩し的に秘密がバレそうになる展開は、見ていて興味深い。あまりにも人間離れしたパフォーマンスを発揮し、「いや、もう隠せてないよ!」とツッコミたくなるシーンほど笑ってしまう。だからこそ、漫画の「身体測定回」は面白く痛快で、読者の思い出に強く残るのだろう。
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