「測定機を破壊」「世界記録更新」正体が隠しきれない…漫画史に残る「伝説の身体測定回」の画像
少年チャンピオン・コミックス『バキ』第1巻(秋田書店)

 大人になった読者に伺いたい。皆さんは学生時代の身体測定を覚えているだろうか。

 100メートル走のタイムを計ったり、ハンドボールを遠投したりと、さまざまな種目があった。中にはあまり良い記録を出せず、「もっと運動神経が良かったら……」と落ちこんだ苦い思い出がある人もいるかもしれない。

 だが、フィクションの世界では、人間離れした身体能力を持つ者にとって身体測定の日は大変なイベントとなるようだ。とりわけ世間に正体を隠している人物にとっては、秘めてきた能力が白日の下にさらされかねない。そんな状況下で悪戦苦闘しながら能力を隠し、一般人に紛れて身体測定に挑むエピソードは、秀逸なギャグ回として描かれることも多い。

 今回は“スポーツの秋”にちなみ、名作漫画の中に描かれた「伝説の身体測定回」を紹介しよう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■『ドラゴンボール』天下一武道会のパンチ力測定で大暴れ

 まずは、バトル漫画のレジェンド『ドラゴンボール』(鳥山明さん)から、第25回天下一武道会で行われたパンチマシン測定のシーンを見てみよう。

 セルとの戦いの末に命を落とした孫悟空が1日限りで現世への復活を果たし、孫悟飯、クリリン、ベジータといった懐かしのメンバーとともに天下一武道会に出場することになる。そこで一行を待っていたのは、パンチマシンの数値によって出場者を決めるという予選「パンチ力測定」だった。この時点で、嫌な予感しかしない……。

 セルゲームを経て、すっかり世界の英雄になったミスター・サタンのパンチ力は137点を記録。その後、他の参加者が100点前後を出す中、事件は起こる。賞金目当てで参加した18号が軽くパンチマシンを小突いたところ、測定結果はなんと774点。クリリンに注意され、「かげんがむずかしいんだよ!」と不貞腐れる18号の姿がちょっと可愛らしくもある。

 その後、一行は目立たぬよう慎重に「チョン」と小突く程度でごまかそうとする。それでもクリリンは192点、悟空は186点、ピッコロは210点と、規格外の記録を連発してしまう。そして極めつけは、事態に苛立ったベジータのパンチだ。その一撃で哀れなことにパンチマシンは破壊され、測定会はあえなく終了となってしまった。

 幸いにも一行の正体がバレることはなく、大会スタッフが「パンチマシンの故障」と捉えたことで事なきを得るのだった。

■『バキ』範馬刃牙は1500メートルの世界記録を出しかけるも…

 格闘漫画の金字塔『刃牙』シリーズ(板垣恵介さん)の第2部『バキ』では、主人公・範馬刃牙が学校の体力測定に参加するエピソードがある。

 東京ドーム地下闘技場のチャンピオンに君臨する刃牙も、表の世界ではごく普通の高校生として生活。「生まれて初めてなんだよなァ」と語る彼の体力測定は、終始波乱だらけだった。

 100メートル走では、彼のスタート時の衝撃でグラウンドの土がえぐれ、走り幅跳びでは助走なしで砂場を飛び越えてしまう。地上最強を目指して鍛え続けた刃牙の肉体は、まともな記録すら取らせてくれない。

 計測不能の連発に、体育教師からは「まともにできたのが一つもねェじゃねェか」と怒鳴られる始末。結果的には正体はバレずに済んだが、「記録が取れないこと自体が異常」と教師は気づくべきだろう。

 「このままだと進級できないよ」と告げられた刃牙は、最後の1500メートル走で「世界記録を破ったら合格」という掟破りの約束を取りつける。普通の高校生としての生活を守ろうとしてきた刃牙も、ついに本来の身体能力を解放し、本気で走り出す。その速さは1500メートルどころか、800メートルの世界記録をも上回るペースだった。

 だが、刃牙は単なるスポーツマンではなく、グラップラー(格闘家)だ。強くなるため、自ら肉体に負荷を課してきた習慣がよみがえり、1000メートルを超えた地点から急失速。世界記録どころか最下位でゴールすることとなった。だが、途中までのとんでもない走りに鬼気迫るものを感じたのか、体育教師は「合格だ」と認めるのであった。

 面白いのが、このエピソードのオチとなる刃牙の独り言だ。体力測定を終えた夜、刃牙は布団に入りながらこう考える。「オレ…… 体力ないのかな……」と。いち読者として、「そんなことないよ!?」というツッコミを彼に贈りたい。

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