■自分の足で走る楽しさを実感した「のび太が九州まで走った!!」
てんとう虫コミックス第18巻収録の「のび太が九州まで走った!!」は、ひみつ道具を使いつつも、のび太が運動の楽しさに目覚めるエピソードだ。
ある日、パパが室内用健康器具「ルームマラソン」を買ってくるが、のび太を含む家族全員が三日坊主で飽きてしまう。 そこでドラえもんが取り出したのが、ひみつ道具「未来のルームマラソン」だった。
これは、その場で足踏みをした距離のぶん、外の景色がリアルに変化していくという画期的な装置だ。最初は楽しんでいたのび太だが、やはり途中で飽きてしまう。見かねたドラえもんがスピード設定を上げたところ、のび太は景色が素早く移り変わる面白さに夢中になり、自ら設定を飛行機並みの速度まで上げて九州まで走り抜くのだ。
ゴールしたのび太は、「くたくただけど気もちのいいつかれだ」「そして、走ることに自信がもてたよ」と、達成感に浸るとともに、運動の楽しさを身をもって知るのだった。
ただし、このエピソードにはオチがある。ルームランナーで足踏みする癖がついてしまったのび太は体育の授業で前に進めず、「まじめに走れっ!」と叱られる。それでも、なまけ癖のあるのび太が九州までの距離を完走できた経験は、大きな自信につながったはずだ。
ちなみに、このひみつ道具のルームマラソンだが、現代のテクノロジーで実現されつつある。VRヘッドセットを使って風景動画の中を走ったり、VR空間を走る機器が現実世界に登場しているのだ。私たちもこうした道具を使えば、のび太のように運動する楽しさを再認識できるかもしれない。
いつもはドラえもんに頼ってばかりののび太だが、こうしたエピソードを振り返ると、本当は彼1人でも十分に頑張れる力を持っていることがうかがえる。ドラえもんという、あまりにも頼もしい存在がそばにいるからこそ、つい甘えてしまうのだろう。
現代を生きる私たちの周りに、ドラえもんこそいないものの、スマートフォンやAIなど便利で頼れる存在が増えてきている。これらに頼りきるのではなく、あくまで「道具」として賢く使いながら、自分の努力も忘れないようにしたいものだ。
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