アニメファンから “豊作”の呼び声が高かった2026年夏アニメ。新作から続編、往年の名作リバイバルなど70以上の作品が並び、話題性、クオリティ共に大きな反響を呼んだ夏クールは、国内外でも大きな話題を呼びました。
今回は、そんな夏アニメラインナップの中から、「アナウンサーの皮をかぶったオタク」としても知られる田口尚平氏が、特に秀逸だった作品をピックアップ! 自身の目で観て選んだ「2026夏ベストアニメ」を、熱い想いとともに発表していきます。
現在フリーアナウンサーの田口氏は、ゲーム実況などで活躍する傍ら、毎クール放送されるアニメ作品をほぼ欠かさずチェックしているという生粋のアニメファン。そんな田口氏が“アニオタ目線”で選出した2026年夏のベストアニメは、はたしてどの作品なのか。
今回は【関脇編】、第5位~第3位の作品を発表します!
※本記事は各作品の内容を含みます。
【第1回/全2回】
■期待を裏切らない「京アニクオリティ」第5位は『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
まず第5位は、京都アニメーション制作の『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』。原作は、京アニの「KAエスマ文庫」から刊行されている結城弘先生の小説です。
舞台は20世紀初頭の京都。ただし現実とは違う進化を遂げた世界で、電気ではなく蒸気機関だけが発達していて、街がずっと煙に包まれているんですね。そのなかで、兄を失って疑り深く生きる少年・坂本喜八と、信心深く生きる少女・百川稲子が、「二十世紀電氣目録」の秘密をめぐって出会う……という物語。
まずもって美術がとにかくとんでもなくすごい。監督は太田稔さん、シリーズ構成・脚本は浦畑達彦さん、キャラクターデザイン・総作画監督は岡村公平さんという布陣なんですが、背景が印象派の絵画みたいなタッチで、京アニの新境地と言っていいルックになっています。作品のテイストに合わせた煙霧の表現が非常に印象的です。
かと思えば話数によっては、作画テイストをゴリゴリに変えたりして、遊びがたくさん詰まっている作品です。本筋としては描き込まれた背景美術を指した「密度の演出」という言葉がぴったりで、画面いっぱいに電氣頭脳の内部構造が広がるカットは圧巻です。
私はアニメ初見勢ではあるのですが、実は原作既読勢の間では賛否もあったらしく。アニメ版は稲子の婚姻をめぐる話の運びに大きめの改変が入っていて、原作の落ち着いたトーンと、望まぬ結婚に揺れる稲子の心の機微が好きだった人には、前半のハイテンションな作りが引っかかったようなんです。
ただ最終話まで見届けた原作勢の感想に「思い切って活劇に舵を切った構成、アリだった」というものも見受けられ、このあたりは1クールで描き切るアニメーションならではの難しさもありますよね。
でねーーーーーーーーーー。三添洋輔(みぞえ ようすけ)という素晴らしいキャラクターがいるんですよ。演じるのは内山昂輝さん。内山さんの芝居もまた気持ち悪くハマっていて、記憶に残るキャラなんですよね。
「狂気の悪役」っぽく物語に登場してきたと思ったら、彼自身もまた、喜八の亡き兄・清六に影響され、電氣の発明を実現する夢を抱いた人間として描かれていて、ただ憎むだけでは終わらない。第12話の、恐ろしさと滑稽さと痛々しさが全部同居した表情は、太田監督がインタビューで語っていた「本心を見せる」という演出論を、そのまま体現していたと思います。
テレビ放送もあったけど、動画配信はNetflixの世界独占となっていて、そのためか、なかなか一般認知を得られなかった作品なのかもしれません。夏アニメは大豊作でしたしね。ぜひたくさんの人に見てほしいです。


