■「でかつよ」と「あのこ」
さて、『ちいかわ』作中に登場するキメラの中でも、見た目がかわいくて体が大きく、人気のあるでかつよたち。圧倒的な強さには恐怖を感じるが、魅力的なのも事実だ。
まずは、わがままキャラとして知られる「モモンガ」と関連が深い、獅子舞のような見た目をしたでかつよ。元々、「でかつよ」とはこの個体のことを指している。初登場シーンでは、「返せ!」と言いながらモモンガを追いかけていた。どうやら現在のモモンガは元々このでかつよで、かわいらしい見た目になることを望み、何らかの手段で中身を入れ替えたということが何度か示唆されている。
つまりこのでかつよは、中身はちいかわ族のモモンガということであり、各登場シーンでは本来の優しい性格が滲み出ている。元の姿に戻っている夢を見て急いで池に確認しに行ったところ、水面に反射した今の姿を見てなんともいえない沈黙をするシーンもあり、その切ない姿は涙を誘った。
続いては、「あのこ」と呼ばれる個体。こちらは、ちいかわがシール貼りの仕事で出会い一緒にお菓子を分け合った同僚と思われ、強さを求めた結果としてでかつよになったことが示唆されている。
ちいかわたちとは別の生き物になった後、ちいかわ族を捕食しているようにも捉えられる場面が多くあるあのこ。どうやら圧倒的な力を振るえる今の生活を謳歌しているらしく、作中ではちいかわたちやでかつよと比較される表現も多い。
でかつよとあのこの2人は最近の漫画では一緒に行動することも多く、ちいかわ族を弄ぶあのこを「やめなよー…」と言いながら見守るでかつよ、という構図がよく見られる。正体はどちらもちいかわ族でありながら、自分の現状に対して正反対のスタンスを貫いているのが印象的だ。
さて、ハチワレは実は「パラレルワールド編」以外にも、何度かでかつよになるフラグがある。不気味な雰囲気が漂うエピソード「悪夢編」では、ちいかわが見せられた悪夢の中で、ハチワレが住む洞穴の中から「こんなになっちゃった」と突き出された手がでかつよになっていた。
また、ちいかわの公式Xでは映画公開日のカウントダウンに合わせたイラストが公開されたが、「あと1日」はエンディングのシーンの船上にいるちいかわと、でかつよになったハチワレがちいかわに「…ねッ」と言っているものだった。映画の内容通り、「何があってもいつまでも一緒にいよう」というメッセージなのだろうか。
不穏な展開に定評のあるナガノ氏。今後もでかつよになったハチワレが登場することは必至と言っていいだろう。


