期待作だらけの秋ドラマ「これは絶対に観る」4作品 キャストも物語も「濃厚すぎる」…【かんそうの週刊ドラマレビュー】の画像
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 人気ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。夏ドラマも次々に最終回を迎える中、今回取り上げるのは松村北斗主演の『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系)。25年間、一人の女性に片想いし続けてきた男を描いた本作は、事前には想像できなかったほど、不思議な魅力を醸し出すドラマとなったようです。そのすべてをかんそうさんが総括します!

 

 金曜のTBSに『LOST10』、土曜のテレビ朝日に『あにいもうと』、日本テレビには『俺たちの箱根駅伝』、そしてフジテレビには『救命病棟24時』第6シリーズ。

 クールが変わるたびに「今年こそ静かに観る」と誓うが、毎回最初の15分で机を叩いて叫んでいる。今回も例外じゃない。主演たちの顔を並べた瞬間、期待というよりは、あまりの濃さに熱が出そうです。

 まず、『LOST10』(TBS系/金曜22時~/10月16日スタート)。主演の横浜流星は、北海道の支樺署で働く刑事・小駒だ。登山ツアーの遭難「支樺岳事件」を追う、らしい。

 横浜流星の演技でいつも怖いのは、目の奥が先に全てを理解してしまうところである。

 口がまだ「様子を見ます」と言っているのに、瞳がすでに結論を出している。大河で蔦屋重三郎をやったあとでも、その早すぎる理解力は消えていない。田舎の刑事が、自分の器を超えた事件に飲み込まれていく過程を、横浜はたぶん「頑張ってます」顔ではなく、「俺、これヤバいことになってるな」という静かな焦りでやる。視聴者の胃が先に遭難するタイプの芝居だ。

 その隣に小栗旬の保険調査員・直がいる。小栗旬の強みは、ただの「頼れる男」にしないことだ。笑顔の角度が0.5度ずれただけで、味方なのか保険金の計算をしているのか分からなくなる。横浜が証拠を積み上げようとする横で、小栗はその裏でとんでもないことをしでかすために動いてる。

 『Nのために』『最愛』で演出を担当した塚原あゆ子と、脚本を務めた奥寺佐渡子が組んでいる時点で、人情サスペンスの皮を被った相互不信が来る。二人の視線が交差した瞬間、北海道の風より冷たい空気が画面に入るはず。絶対に見逃せない。

 翌日の『あにいもうと』(テレビ朝日系/土曜22時~/10月17日スタート)は、もっと危ない。

 榮倉奈々が総合内科医の春木奈緒、赤楚衛二が造船所で働く園田修司。病の妹を抱えた兄と、問題児の兄を抱えた妹が、許されない距離に落ちていく。

 榮倉奈々の演技は、いつもその真面目さの裏に危うさを抱えている。医師として正しいことを言っているのに、声の端がすでに私情で湿っている。白衣の中で理性を維持しようとするほど、視線が患者の兄に吸われていく。あの「私は医者です」という顔のまま恋に落ちる過程を、榮倉は多分きれいにやらない。きれいにやったらこの話は死ぬ。

 赤楚衛二は逆だ。妹のために体を削る兄を、美形の善意で済ませないところに期待している。『こっち向いてよ向井くん』で、顔の良さでは絶対にカバーできないキモさと不器用さを爆発させた男だ。今作でもその絶妙なバランスは健在だろう。

 さらに宮﨑優の妹と木村達成の兄が両脇にいる時点で、「あにいもうと」という言葉自体が呪いになってくる。3年後の再会が悲劇のはじまりだと公式が先に言っているのも、優しいようで残酷。吉田紀子の脚本が、この禁じられた距離をどこまで粘着質に引っ張るか。土曜の22時に、健全な心でいるのは難しいだろう。

 『俺たちの箱根駅伝』(日本テレビ系/土曜21時~/10月10日スタート)は、走る前からすでにこっちの息が上がっている。

 大泉洋が大日テレビのチーフプロデューサー徳重亮、伊藤沙莉がセンターディレクター宮本菜月、山下智久が明誠学院の新監督・甲斐真人。池井戸潤が10年以上かけて書いた箱根を、選手側と中継側の両方から叩く。あまりの濃さに乳酸で全身がパンパンである。

 大泉洋の演技の凄さ、それは北海道のローカル出が、全国ネットの主演を張るようになっても1ミリも変わらないその「軽さ」だ。無理難題を押し付けられたときの大泉洋は、無敵。

 伊藤沙莉は完璧主義のディレクターとして、周囲とぶつかる役どころらしい。伊藤沙莉の強みは、正論を言っているときの目が少し潤むところにある。正しいことを言えば言うほど孤立する顔を、彼女は過剰に演じない。だからこそ応援したくなる。

 山下智久は、花の2区で区間賞を3度取った伝説のランナーが、監督経験ゼロで18年ぶりに戻ってくるという設定。山下智久の常軌を逸したムキムキボディから厳しいことを言われたら選手は従うか、チビるかしかない。箱根の魔物より厄介。山下がタイムを見る目は、たぶん優しい監督の目じゃないでしょう。初回40分拡大という時点で、日テレはもうタスキを渡す気満々である。

 そして『救命病棟24時』第6シリーズ(フジテレビ系/月曜21時~/10月12日スタート)。江口洋介の進藤一生と、松嶋菜々子の小島楓が、また救命の現場にいる。これだけで激アツ案件。

 テーマは「変わりゆく時代の中で失ってはいけないもの」。働き方改革も、世代間の溝も、命の選択も、全部この病棟に流れ込んでくる。江口洋介の進藤は、孤高を「かっこいい」で終わらせない。患者の前では神のように素早く、外では少しだけ人間の疲れを漏らす。その漏れ方がシリーズを重ねるごとに深くなっている。

 松嶋菜々子の小島は、進藤の下で数えきれない命を救ってきた側だ。松嶋の演技は、強さと弱さ、その両方が微笑みの中に隠れている。怒らない。でも譲らない。木戸大聖や萩原利久、白石聖といった次の世代に対して松嶋菜々子はきっと「育てる」と「まだ任せられない」の間でグラグラ揺れるはず。そこが見逃せない。

 濃厚すぎる秋ドラマ。録画の容量より俺の心の容量のほうが先に足りなくなりそうです。

 

■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

 

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