■「本当の愛」を捨てたララが選んだ未来とは……『さよならララ』
次にピックアップする『さよならララ』は、キネマシトラス15周年記念作品として制作されたオリジナルアニメだ。人魚のプリンセス・ララが、人間の王子との恋に破れて泡となって消えてから200年後が舞台となる。
現代の琵琶湖によみがえったララが、今度こそ「本当の愛」を探す物語となっている。ララと女子高生・大津茉里との交流を軸に、愛とは何かを問いかけるストーリーが魅力の作品だ。
その最終回でララは、人間を憎む父のローワンや姉妹から、失われた光を取り戻すという人魚の宿命のために「愛する者」を刺し貫くよう迫られる。そこに“人魚と人間”は違うからこそ、近づかないと分からないと、危険を顧みず茉里がやってくる。
茉里と一緒に過ごしたかけがえのない日々を思い、ララは人魚の宿命から逃れようと自分を消してしまおうと葛藤。暴走した短剣が茉里の体を貫き、さらにララ自身にも襲いかかる。それでもララは、茉里と一緒に生きられる世界を選ぶのだった。
この決断によって人魚の宿命から解放され、ララは再び人としての姿に生まれ変わる。SNSでは「おかえり、ララ」「茉里との関係がどうなっていくのか知りたい」「この作品に出会えてよかった」など、新たな人生を歩み始める決意をしたララに対する反応が目立った。
半年後に一人暮らしを始めることとなったララが、人間社会で今度はどのような未来を選んでいくのか……。その先を見届けたいと思わせる最終回であった。
■最終回で深まる佐々木と田山の関係!『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
最後の作品は、地主氏が2022年から『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載する漫画が原作の『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』。同作はスーパーの裏の喫煙所を舞台に、仕事に疲れた中年男性・佐々木と、店員の田山が煙草を通じて心を通わせていく日常ラブコメディーである。
佐々木が安らぎを求めて訪れる喫煙所で、素は不愛想でずぼらだが、勤務中は理想の癒し系・山田を演じる田山との距離を縮めていく姿が中心に描かれる。煙草を吸いながら交わす何気ない会話や、2人の関係が変化していく描写が多くの視聴者から好評を博した。
喫煙所という限られた空間で生まれる独特の距離感が心地よい作品だが、互いの過去にまつわるエピソードもたびたび話題になっていた。最終話となる第12話「スーパーの裏で続くふたり」では、かつての上司・中島から定年退職の連絡を受けた佐々木が、本社時代の苦い記憶と向き合うことになる。
そして、田山に背中を押されて北海道に向かった佐々木は、帰ってきた後にいつもの喫煙所で彼女と再会。最後は田山が佐々木のマフラーを求め、彼がそれを巻いてあげるという、2人の距離が一層縮まったことを感じさせる場面で幕を閉じた。
なお、田山役の声優・星希成奏さんは自身のXにて、最終回のエンディングのあと「話そ、いっぱい」というセリフに続く二人の会話が「オールアドリブ」だったことを明かした。
SNSでも「素晴らしいエンディング」「最高のアドリブでした…」「心が暖かくなった」と、2人の自然なやりとりや、穏やかな結末を称賛する声が多数寄せられた。
2人の関係は今後どうなっていくのか。もし続編が描かれるならば、変わらない喫煙所の日常を残しながらも、少しずつ恋愛へ踏み込んでいく展開にも期待したいところだ。
いずれも最終回が好評で、物語に大きな転換や新たな可能性を残した夏アニメを振り返った。作品によっては原作のほうで続きも描かれているだけに、アニメの続編にも期待したいところだ。


