■横沢推しは、“好き”と“幸せ”を切り離して考えることができる
新聞記者の横沢は、“好き”とか“結婚”という言葉を軽々しく言っているところが、正直なところ、かなり胡散臭かった。虎太郎とシマケンが、りんに想いを伝えられずにグズグズしている間に、彼は何度もプロポーズしている。「いや、軽すぎだろう」と思うけれど、横沢からしたらすべてが本気。ガチなのです。
しかも、りんへのアピールだけでは飽き足らず、母の美津(水野美紀)の前で、「自分は間違いなく出世する」、「一緒に楽しく暮らしましょう。必ず幸せにします」と宣言。りんが「今、幸せなんです」と断っても、「わたしといたら、もっと幸せになりますよ」と畳み掛ける。すごい、ここまでくると、愛の告白というより、もはやプレゼンである。
ちなみに、この横沢のアプローチを「うぜぇよ」と感じる人もいると思う(おそらく、大多数がそう)が、筆者は、“親にまで宣言するほどの本気”にグッときてしまった。とは言いつつ、“愛するよりも愛されたいタイプ”のわたしは、結局、虎太郎を選ぶんですけどね。
横沢推しの友人で既婚者のBちゃんは、「いちばん安定した生活ができそうだから、横沢がいい」と言っていた。なるほど。横沢を最推しにする人は、“いちばん好きな人”と、“いちばん幸せにしてくれる人”を、分けて考えられるタイプなのかもしれない。
どれだけ好きな相手でも、「いや、この人と付き合ったら苦労するな」と思えば、ちゃんと候補から外せる。ときめきの瞬間最大風速よりも、幸福感の総量で相手を選ぶ。
つまり、横沢推しは、“沼を沼のまま鑑賞できる人”なのだ。ただし、安全な岸から眺めすぎて、いつまでたっても恋に飛び込めない可能性も……?
こうして3人を並べてみると、自分が恋愛に何を求めているのか見えてくる。愛されたいのか、理解されたいのか、失敗したくないのか。って、そりゃ全部欲しいんですけどね。


