今回の『宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」』は特別編! 宇内さんが、発売1周年を迎えた大ヒット作『SILENT HILL f(サイレントヒル f)』コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)の岡本基プロデューサーを直撃! 複数の結末が存在する本作を、トゥルーエンドまで遊び尽くした宇内さんだからこそ聞ける「ネタバレ上等」の質問をたっぷりぶつけます。作品愛に満ちたディープなトーク「宇内が訊く!」をお楽しみください!!
【第1回/全4回】
※本記事は『サイレントヒル f』の核心部分の内容を含みます。
【ゲスト】
コナミデジタルエンタテインメント
「サイレントヒル」シリーズプロデューサー・岡本基氏
■発売後に感じる手ごたえと作品の広がり
宇内梨沙(以下、宇内):『サイレントヒル f』が発売されてから1年が経ちました。今のお気持ちはいかがですか。
岡本基プロデューサー(以下、岡本):1年通して話題を作り続けることができて良かったと思っています。27年以上続いてきた「サイレントヒル」シリーズに『サイレントヒル f』から新しいお客様が入ってきてくださいましたし、有名な方が配信をしてくださったり、漫画版が始まったりと、発売後も話題が尽きないのでとてもありがたいです。
宇内:新しいお客様が増えたとおっしゃいましたが、『サイレントヒル f』のファン層にどんな変化を感じていますか。
岡本:キャラクターやその関係性に強く注目してくださるファンが増えたのかなと思います。従来の「サイレントヒル」シリーズと比べても、(深水)雛子と(常喜)寿幸のファンアートが圧倒的に多く描かれているんです。まるでヒットしたアニメ作品のような人気になっているイメージがあって。この勢いが、日本のみならず海外にもキャラクター人気が広がってほしいなと思っています。
宇内:たしかに、女性プレイヤーの熱量の高さを感じますね。
岡本:これまでの「サイレントヒル」シリーズとは違う、新しいファンが支持してくださっているんだなという実感がありますね。
宇内:特に、寿幸人気はすごいですね。寿幸というキャラクターは、これまでの「サイレントヒル」シリーズに登場していた男性とは違いますよね。過去作の男性は、リアルな人生を生きている人物たちだったと思うんですが、寿幸はどこか王子様チックです。
岡本:寿幸は、竜騎士07さん(※脚本家・小説家/本作の物語などを担当)が生み出すキャラクターの妙が詰まっていると思います。謎めいていて、過去や幼少期がぼんやりとしか見えない。いま漫画版が展開していますが、寿幸のバックグラウンドなどもより見えていけばいいなと思っています。ゲームだけじゃなく、漫画版も含めて、トータルで『サイレントヒル f』の世界を楽しんでもらいたいですね。
宇内:ゲームが発売されてから、プレイヤーの感想や考察がさまざまなところで発表されています。そういった感想や考察はどのように受け止めていましたか?
岡本:発売後1年が経った現在でも、まだ考察動画を作ってくださる方がいらして、とても驚いています。ユーザーの考察はいろいろと拝見しているんですけど、まだまだ解明されていない大きな謎が残されている状態で……まだ大きな真相に届いている方はいないんじゃないかなと思います。そういうところも含めて、考察文化の流れにうまく乗ることができたと感じています。
宇内:考察によって何割くらいの謎が解かれたのでしょうか……?
岡本:8割くらいは辿り着いていると思います。実は、僕らも発売後に竜騎士07さんから明かされた謎もあるんです。『サイレントヒル f』はある意味で、竜騎士07ユニバースのひとつのような一面もあって。そのユニバースの秘密は竜騎士07先生自らも明かさないと決められているようなんですね。竜騎士07さんの頭の中にしかない、シナリオに書かれていない謎がまだまだある、と感じています。
宇内:開発中の頃から「ここはきっと考察が盛り上がるだろう」と期待していたところはありましたか。
岡本:エンディング(「静寂なる戎ヶ丘」)のラストシーンで神社の木にぶらさがっている鈴ですね。あれは開発会社の「NeoBards(ネオバーズ)」さんが付け加えてくれた演出なのですが、意味深な演出になっているので、熱心なユーザーが考察の対象にしてくださいました。あそこから、雛子と姉の関係をより深く読み解いてくれたのは、とても嬉しかったです。
宇内:エンディングの演出から、登場人物の生死について、あらためて考察する動きもありましたよね。プレイヤーの想像に委ねるような余白があるところが素晴らしかったです。
岡本:そうですね。竜騎士07さんが全てを語らぬように、意図的に残している部分もあります。漫画版では少しだけ解像度が上がるようなシーンを混ぜたりしていますので、より深く考察していただけると嬉しいなと思っています。


