■意外な人物と結ばれた「沢渡美奈」地道に演劇を続ける「水無月さやか&春日泰子」

 おしとやかで落ち着いた雰囲気を持つ沢渡美奈も、劇団つきかげを代表するメンバーの1人だ。『若草物語』では長女メグを好演し、その後も仲間と一緒に舞台活動を続けている。そんな美奈は、後に意外な人物と恋仲になる。それが、ライバル劇団であった劇団一角獣の団長・堀田太一だ。

 劇団一角獣は全日本演劇コンクールをきっかけに劇団つきかげと出会い、その後は協力して舞台を作る間柄となる。作者・美内氏の公式サイトによれば、堀田本人が美奈との関係について「仲良く付き合ってマス」と語っており、2人が恋人関係にあることが明かされている。

 一方、水無月さやかと春日泰子も演劇の道から離れてはいない。特にさやかは『若草物語』でマヤとベス役を競った人物であり、当初は突然現れたマヤの才能に複雑な感情を抱いていた。しかし、マヤの芝居にかける情熱と実力を目の当たりにし、次第に良き仲間として彼女を支えるようになっていく。

 劇団つきかげが事実上の解散状態となったあとも、さやかと泰子は劇団一角獣の仲間たちとともに芝居を続けている。舞台『石の微笑』ではそれぞれが複数の役や重要な役柄を担当し、役者としての成長を感じさせた。

 また、「梅の谷」で行われた千草による『紅天女』の試演では、劇団つきかげのメンバーが村人や梅の谷に住む神々らを演じ、命を削って舞台に立つ千草を陰で支え、舞台を大成功に導いた。彼女たちはマヤのような突出したスター性こそないものの、本作のテーマである「演劇」を魅せる上で、なくてはならない存在なのである。

 

 劇団つきかげの仲間たちは、マヤにとって単なる友人や仲間ではない。ときには役をめぐって競い合うライバルであり、同時に挫折したときには自分を温かく包んでくれる家族のような存在だ。

 華やかな成功をおさめるマヤの陰で、それぞれの形で芝居を愛し、舞台に立ち続ける劇団つきかげのメンバーたち。『ガラスの仮面』が世代を超えて長く愛される理由の1つには、こうした脇役たちの人生と成長がしっかり描かれている点にあるのかもしれない。

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