■工藤優作が見せたコナンを上回る名推理

 コナンが唯一敵わない相手といえば、実の父親である工藤優作である。彼のずば抜けた推理力は、作中ナンバーワンといっても過言ではない。

 そんな優作が、コナンの推理を「まだまだ甘い」と評した事件がある。単行本第14巻収録の「追いつめられた名探偵! 連続2大殺人事件[2]」がそれにあたる。

 新一の母・工藤有希子の幼なじみである広美の実家・籔内家が遺産相続で揉める中、広美の叔父である義房がボディガードのカルロスを連れてやってくる。義房は30年ぶりに帰国したのだが、広美は彼の雰囲気が昔と変わったように感じ、怪しく思っていた。

 そんな中、広美の継母・真知子が遺体となって発見される。コナンは鑑識結果などから、真知子が義房を殺そうとして返り討ちにあったと推理し、義房に自首を勧めた。しかし、突如現れた優作がそこに割って入り、推理の不十分さを指摘する。

 優作は、義房と思われていた人物は影武者であり、実は彼の方がカルロスのボディガードだったと明かす。本当はカルロスが義房の息子で、彼に遺産を相続させるつもりだったというのだ。本物の義房は既に病死しており、自身に脅迫状が届いたことを踏まえて、息子を守るべく影武者をボディーガードとして来日させていたのだった。

 コナンは、事件そのものは解決したが、その裏にある大きな謎までは解けなかった。わずかな情報からすべての真実を見抜いた優作は、さすがの推理力の持ち主といったところだろう。

■毛利小五郎に先を越される

 ふだんはコナンに眠らされ、手柄を立てさせてもらっている毛利小五郎。頼りないヘボ探偵というイメージがあるかもしれないが、時にはコナンより先に犯人にたどり着くこともある。その代表例が、劇場版第9作『名探偵コナン 水平線上の陰謀』だ。

 豪華客船で発生した連続殺人事件の犯行に関わったのは、シナリオライターの日下ひろなりと設計士の秋吉美波子で、2人はそれぞれ復讐のために動いていた。ただし彼らは共犯というわけではなく、秋吉が日下の行動を巧みに操っていたにすぎない。そのためコナンすら、日下1人の犯行だと思いこんでいた。

 そんな中、小五郎だけは序盤から秋吉に目をつけ、序盤から犯人だと指摘していた。しかし、その段階では憶測にすぎず、いつもの的はずれな推理として相手にされなかった。

 そして物語の終盤、秋吉が最後の犯行に及ぼうとした時、計画を阻止したのは小五郎だった。彼が真相を見抜いた理由は、フードの怪しい人物が胸をかばう仕草をしたため女性だと気付いたことと、別居中の妻・妃英理に似ている秋吉が気になり、何かと観察していたためだった。

 偶然にも小五郎自身の個人的な事情がうまく噛み合ったこの解決劇は、さすがのコナンも分が悪く、大人しく負けを認めるしかなかった。

 

 天才的な頭脳を持つ名探偵のコナンだが、時には推理を外すこともある。しかし、何でも完璧にこなすより、多少はミスもある方が、高校生らしい人間味を感じさせてくれるのではないだろうか。

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