青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、今年でアニメ放送30周年を迎えた長寿作品だ。国内外を問わず、幅広いファンから愛される本作の魅力は、なんといっても主人公・江戸川コナン(工藤新一)による名推理だろう。どんな難事件も鮮やかに解決してみせる頭脳は、見る者に爽快感を与えてくれる。
そんなコナンの活躍を見ていると「彼に解けない謎はないのでは?」と思えてしまうが、実はそんなことはない。時には間違った推理をしたり、他のキャラクターに先を越されたりするケースも存在するのだ。
そこで今回は、あの江戸川コナンが推理で敗れてしまったレアなシーンを振り返ってみたい。
※本記事には作品の核心的な内容を含みます。
■光彦の推理がまさかの正解?
アニメオリジナルのエピソードには、現役の小学生であり少年探偵団の一員・円谷光彦が、コナンに推理で勝ってしまう場面が2つも存在する。
まずは第225話「商売繁盛のヒミツ」。このエピソードで少年探偵団は、同級生の倫太郎から家族が営む食堂にやってきた亀倉雄二の正体を暴いてほしいと頼まれる。亀倉は倫太郎の祖父への恩返しを理由に、「給料は要らないから」と勝手に住み込みで働き始めた怪しい人物だった。
調査を進めるうちに、5年前に近所で発生した宝石強盗事件について知った光彦は、亀倉がその犯人ではないかと疑う。盗んだ宝石を当時建て替え中だった倫太郎の家の地下に埋め、時効を迎えた今、それを掘り出そうとしている……という推理だ。
そこから「知ってますよ、すべて」とカマをかけ、動揺を誘って行動を起こさせようと画策。コナンはこれを「的はずれ」と考え、子どもに脅された程度で怖気づく大人など存在しないと呆れていた。そもそも光彦の推理には穴があり、仮に亀倉が犯人だとすればあまりに間抜けすぎるというのだ。
だが亀倉は、光彦の予想通りに動き、現場を押さえられて逮捕された。彼はコナンの予想を裏切るほど、ビビりで間抜けな犯人だったのである。
コナンの予想が外れる事件も珍しく、犯人に対して「もっとまともな手があっただろ」と説教したり、「俺はもっと本格的な、もっとまともな事件専門なんだよーッ」と叫んだりするコナンの姿がとても印象的だった。
次に第303話「戻ってきた被害者」では、ソファーの中から遺体が見つかる事件が発生する。このソファーはリサイクルショップに売られていたもので、もともとは隣町のゴミ置き場に捨てられていた。それを購入した人が、家に届いてから遺体の存在に気付いたのだ。
そんな中、現場の隣に住む徳永和弘という陰気な男が、事件の朝に珍しくご機嫌でビールを飲んでいたという目撃証言が浮上。それを聞いた光彦は、彼こそが犯人だとひらめく。
徳永は犯行後に遺体を遠くに捨てたかったものの仕事があったため、とりあえずゴミ捨て場にあったソファーに隠し、後で捨てに行こうと画策。しかし、仕事から帰るとゴミ捨て場にソファーがなかったため、誰かが持っていってくれたと安堵し、祝杯をあげていた……というのが光彦の推理だった。
コナンはこの内容を「かなり無理がある」と考えていたが、結果は光彦が推理した通りだった。これにはコナンも驚き、光彦のお手柄だと負けを認めていた。
どちらの事件もコナンは先入観にとらわれてしまい、時には単純に動く人間がいることを見抜けなかった形だ。子どもならではの純粋な発想を披露した光彦だからこその勝利といえるだろう。


