多くの平成キッズを夢中にさせたゲーム版『遊☆戯☆王』シリーズ。原作でもおなじみのデュエリストと戦い、勝利報酬のカードでデッキを強化する楽しさはもちろんだが、ソフトを手に取る大きな理由となったのが、現物でもらえる「限定カード」の存在だった。
数種類の中からランダム封入されることも多く、箱を開けて中身を確かめるワクワク感までがゲーム購入のお楽しみだ。強力な実戦向けカードもあれば、公式デュエルでは使えなくとも、ついコレクションしたくなる特別感あふれるカードも存在した。
今回は、初期のゲーム版『遊☆戯☆王』を代表する4作品とともに、当時の少年たちの中二心をくすぐった懐かしの限定カードを振り返りたい。
■OCG誕生前に現れた「ブラック・マジシャン」と「ミラーフォース」
1998年12月にゲームボーイで発売された『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』は、『デュエルモンスターズ』シリーズの第1作だ。
本作は、『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』が始まった1999年2月よりも前に発売されており、生け贄なしで「青眼の白龍」のような強力なモンスターを召喚できたり、モンスター同士を重ねるだけで融合できたりと、独自色の強いルールだった。
限定カードには「デーモンの召喚」や「光の護封剣」など、おなじみの強カードが並ぶが、中でも目を引いたのが、主人公・武藤遊戯の切り札「ブラック・マジシャン」と、強力な罠カード「聖なるバリア -ミラーフォース-」だろう。
「ブラック・マジシャン」は、魔法陣を背に杖を構える魔術師が描かれたデザイン。“黒魔術”という響きや狡猾そうな眼差し、ダークヒーロー的な雰囲気に心を奪われ、小学生時代の筆者はその姿を真似るという黒歴史を残した。
一方の「聖なるバリア -ミラーフォース-」は、相手の攻撃時に敵モンスターをまとめて破壊する効果を持つ。白い閃光が正面から迫るイラストも含め、罠にはめて相手を全滅させる危険な雰囲気が感じられた。
実戦での性能以上に「原作のカードを現実世界で所有できる」ことに価値があり、ゲームとカードの双方から『遊☆戯☆王』人気を押し広げた1本だった。
■禍々しいビジュアルと強すぎる効果が忘れられない『闇界決闘記』の限定カード
1999年7月発売の『遊☆戯☆王デュエルモンスターズII 闇界決闘記』には、罠カードや儀式召喚、モンスター同士の相性を示す「召喚魔族」などが追加された。生け贄なしで上級モンスターを出せる点は前作と同じだが、「デッキキャパシティ」システムの導入により戦略性も求められた。
封入カードは、神聖な雰囲気漂う「ホーリー・ナイト・ドラゴン」から、「鎖付きブーメラン」「ハーピィの羽根帚」などの強力な魔法&罠カードまで全10種類。なかでも強烈な存在感を示したのが、シークレットレア仕様の「究極完全態・グレート・モス」だ。
巨大な羽と緑色の巨体を持つ昆虫モンスターで、攻撃力3500・守備力3000という数値も含め、最上級モンスターの貫禄が漂う。召喚には「進化の繭」を装備した「プチモス」を自分のターンで6ターン以上維持する必要があり、条件は極めて厳しかったが、性能以上に希少性と見た目で欲しくなるカードだった。
そして印象に残るもう1枚のカードが「死のデッキ破壊ウイルス」である。黒い球体に鋭い棘が生えた不気味なイラストで、攻撃力1000以下の闇属性モンスターを生け贄にし、相手のフィールドや手札に含まれる攻撃力1500以上のモンスターを破壊できた。
当初は発動コストに適したモンスターが少なかったが、カード群が広がると評価を高め、一時は禁止カードにも指定されたほど。「究極完全態・グレート・モス」が見た目と希少性での当たりなら、こちらは性能と怪しげなビジュアルで少年たちを驚かせた1枚といえるだろう。


