『週刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載されたバトル漫画の醍醐味と言えば、友情・努力・勝利のスローガンの通り、仲間とともに研鑽を重ね、強敵との激闘を制する展開だろう。
しかし中には、「勝ててよかった」と手放しで喜べない戦いもある。時には磨いてきた能力を失ったり、大切な仲間と会えなくなったりと、勝利の代償が大きかった死闘も少なくない。
そこで今回は『少年ジャンプ』作品の中から、強敵撃破と引き換えに、払った代償があまりにも大きかった激闘の数々を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の核心的な内容を含みます。
■宿敵を倒すため自分のすべてを犠牲に…『HUNTER×HUNTER』
まずは、冨樫義博さんの『HUNTER×HUNTER』の「キメラアント編」より、主人公ゴンと王直属護衛軍の一人・ネフェルピトーの戦いから。
恩人であるカイトと再会したゴンはキメラアントの調査に向かうも、ピトーに遭遇。その戦いによってカイトは殺されてしまう。それでもゴンは、ピトーの念能力ならカイトを元に戻せると信じていた。
ところがピトーから告げられたのは、カイトを蘇生させることはできないという事実。絶望したゴンは涙を流し、なおも治してほしいと訴えるが、ピトーはキメラアントの王・メルエムのためにゴンを殺すと告げる。
怒りに震えたゴンは「もうこれで終わってもいい」「だから、ありったけを…」と言い放つと、体から凄まじいオーラがあふれ出す。髪は長く逆立ち、体は筋骨隆々の姿へと変貌。強制的に成長したゴンはピトーを圧倒し、強烈な「ジャジャン拳」を叩き込むのだった。
ゴンは勝利するが、彼が己に課した「制約と誓約」の反動によって、除念師でも手に負えない瀕死状態に陥る。友人であるキルアはゴンを救うために家族の反対を押し切って、特殊能力を持つ妹・アルカを連れ出すことになる。
この後しばらくはキルアとアルカを中心に物語が進み、ゴンは主人公でありながら表舞台から長期退場を余儀なくされる。結果的にゴンは、キルアの奔走とアルカに宿るナニカの力によって、何とか回復を果たすことになった。
主人公が圧倒的な強さを見せながら、その後あまりにも悲惨な状態に陥ってしまったギャップに、読者の衝撃も大きかった。


