『ONE PIECE HEROINES』に『恋するワンピース』も秀逸…『ONE PIECE』ファンが絶賛した「公式スピンオフ作品」の画像
TVア二メ『ONE PIECE HEROINES』キービジュアル (C)江坂純・諏訪さやか/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)尾田栄一郎/集英社

 尾田栄一郎氏が描く大人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)は、本編アニメシリーズ以外にも、スピンオフやスペシャル版のアニメが数多く制作されている。

 中でも大きな話題を呼んだのが『ONE PIECE HEROINES』、『ONE PIECE FAN LETTER』、『恋するワンピース』の3作品だ。原作では描かれないキャラクターの新たな一面や、ファン目線の斬新なストーリーが楽しめる作品として人気を集めている。

 本記事では、これら3つの外伝・スピンオフ作品に焦点を当て、それぞれの登場人物や物語の内容、そして『ONE PIECE』本編とはまた異なる魅力的な部分を紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■ナミの新たなる一面が描かれた『ONE PIECE HEROINES』

 『ONE PIECE HEROINES』は、小説シリーズ『ONE PIECE novel HEROINES』の一編「episode:NAMI」をアニメ化した作品である。本編では描かれる機会の少ないヒロインの一面に焦点を当てたシリーズで、本作ではナミを主人公に据えたストーリーが展開された。

 物語は、購入した靴の作りが粗く足を痛めてしまったナミが、不満を抱えて店に返品へ行くところから始まる。そこで出会ったデザイナーのルブノから「ショーに出てくれれば、靴を作り直す」と持ちかけられるが、実際に靴を仕立て直すのは靴職人のミウチャだったという展開だ。

 さらに、原作小説には登場しないニコ・ロビンが姿を見せるなど、アニメオリジナルの要素が加えられている点も見逃せない。

 この作品の最大の魅力は、航海術やお金の管理能力に長けた「有能な航海士」として描かれがちなナミを、ファッションやおしゃれに悩む1人の等身大の女性として取り上げている点にある。靴という日常的なアイテムを軸に据えたことで、海賊としての強さとは別の、素のナミの感情の動きが丁寧に表現されているのだ。

 ファッションショーという非日常の舞台に立つことになったナミが、戸惑いながらも自分らしさを見つけていく過程は、原作とはまた違う、静かで心温まる成長物語として楽しめる。

 また、ロビンとのさりげない絆の描写もあり、姉妹のような深い関係性が感じられるほか、靴職人のミウチャとデザイナーのルブノという対照的な2人の職人が、ナミを通してそれぞれの信念をぶつけ合うドラマも本作の大きな見どころである。

 “誰のために作るのか”という、ものづくりの根源的なテーマが、冒険譚とはまったく異なる視点から描かれている本作。派手なバトルシーンはない分、キャラクターたちの細やかな表情の変化や仕草に目がいき、より一層物語の奥深さを味わうことができるだろう。

■原作のたどった道を異なる視点で描いた『ONE PIECE FAN LETTER』

 『ONE PIECE FAN LETTER』は、『ONE PIECE novel 麦わらストーリーズ』を原案として制作された、アニメ25周年記念作品だ。

 物語の舞台は、頂上戦争から2年後のシャボンディ諸島。麦わらの一味の再集結を前に、ナミに強い憧れを抱く1人の少女が現れ、一味が出航する前にファンレターを手渡そうと奮闘する姿が描かれる。

 本編の激しいバトルとは一線を画し、麦わらの一味に憧れる一般市民や名もなき海兵といった人物らの視点から物語が紡がれる構成が本作最大の特徴だ。主人公は麦わらの一味ではないという斬新な構造こそが、この作品の真骨頂といえる。

 島の外から彼らに憧れ、勇気づけられてきた少女の目線を通すことで、麦わらの一味がそれまで積み重ねてきた冒険の重みが、より鮮やかに浮かび上がってくる。

 それと同時に視聴者の印象に強く残るのは、ある海兵兄弟の目線で描かれる頂上戦争の回想シーンである。

 兄弟そろって海兵として頂上戦争に参加した2人。まじめだが不器用な兄と、要領が良く出世も早い弟という対照的な彼らの立場から見た頂上戦争は、筆舌に尽くしがたい魔境というほかない。

 敵も味方も超常的な能力や強力な兵器を用いて暴れ回るなか、兄はリトルオーズJr.の下敷きとなって負傷し、弟も氷に挟まれて動けなくなってしまう。

 弟は兄に「逃げろ」と言うが、兄は、義兄ポートガス・D・エースを助けるべくこの戦争に乗り込んできたモンキー・D・ルフィの「俺は弟だ」という言葉に期せずして励まされ、奮起する様子が描かれる。

 海兵という立場上、ルフィら海賊に表立って感謝することはできないが、兄が漏らした「麦わらのおかげで弟は助かった」という言葉から、単なる「悪」として見ていないことが伝わってくる。

 麦わらの一味を「見送る側」「巻き込まれる側」から描くという視点の転換により、ルフィたちの存在が、これまで以上に眩しく特別なものとして映し出される。『ONE PIECE』の物語における象徴的な出来事を、名もなき人々の視点で描いた秀逸な構成こそが、この作品ならではの魅力だ。

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