■酒で力を封じる異色の宇宙ヒーロー…『酒呑☆ドージ』

 『BØY』や『無頼男-ブレーメン-』などで知られる梅澤春人さん。彼が「梅沢勇人」名義で手がけた初連載作品が、1990年の『週刊少年ジャンプ』で連載された『酒呑☆ドージ』である。

 主人公・ドージは宇宙を旅する酒好きの青年。一見すると陽気な呑兵衛だが、その正体は、強大な力を持つ伝説の超戦士「酒呑星人」である。ふだんから酒に酔うことで自らの力を抑えているが、怒りによって酔いがさめると本来の姿と力を解放。圧倒的な強さで敵をなぎ倒していく。

 緊張感のあるバトル描写もさることながら、物語には広大な宇宙を舞台に、ヤマタやオロチといった日本の伝承を思わせる要素が取り入れられている。昔話や妖怪、それに宇宙船や異星人が登場するSF的な要素を組み合わせた設定は、令和の今読んでも先鋭的。傍若無人でも正義感の強いドージには、のちの代表作『BØY』の日々野晴矢にも通じる、梅澤さんらしい主人公像が感じられる。

 そんな『酒呑☆ドージ』は、コミック全2巻という短い作品となった。宇宙を巡る旅やドージたちの背景など、さらに広がりそうな設定が多かっただけに、その短期終了が惜しまれる。一方、短期間のうちに各地での冒険から大きな戦いまでが描かれるため、梅澤さんらしいエッセンスを凝縮して楽しめる一作ともいえるだろう。

■ヘルメット姿の高校生がヒーローを目指す!?『武士沢レシーブ』

 最後の作品は、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』や『ピューと吹く!ジャガー』などで知られる、うすた京介さんが1999年に発表した『武士沢レシーブ』だ。1995年に始まった『すごいよ!!マサルさん』で独特のギャグ漫画を確立したうすたさんが、次に『週刊少年ジャンプ』で連載した作品でもある。

 主人公の武士沢光沢は、牛乳学園に通う高校生。教室のなかでも通学用ヘルメットをかぶり続け、交通整理に使われる誘導棒のような「武士沢ブレード」を手に、いつか本物のヒーローになることを夢見ている。

 そんな武士沢は、廃部寸前のヒーロー部から勧誘を受けるが、いったんは入部を断る。その後、旧ヒーロー部の国本兄妹と「スーパーヒーロー部A」を立ち上げることになる。そして常識にとらわれない武士沢により、国本兄妹をはじめとする部員たちは奇妙な騒動へと巻き込まれていく。

 突飛な主人公の言動と、常識的な人物によるリアクションがテンポよく展開され、うすたさんが得意とする要素が随所に見られる本作。ヒーロー作品特有の熱さもありつつ、多少の卑怯な手はいとわない武士沢の行動が笑いを誘う。

 全20話で連載を終了したが、実は後半は異形のモノと対決するなど、一転してシリアスな展開も待ち受けていた。ギャグのイメージが強い人ほど驚くかもしれないので、その顛末はぜひコミックをチェックしてほしい。

 

 連載自体は短い期間ながら、初期作品ならではの勢いや、挑戦的な内容の魅力が感じられる作品の数々。有名作者たちの作風がどのように形づくられていったのかを知るうえでも、ぜひ押さえておきたい作品である。

 

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