1980年代の末から90年代にかけての『週刊少年ジャンプ』(集英社)では、後世に残る数々の人気作品が連載されていた。この時期に輝いた長期連載となった作品が広く知られる一方、独創的な設定や魅力的なキャラクターを持ちながら、短期間で連載を終えた作品も少なくない。
そのなかには、のちに代表作となる大ヒット漫画を生み出す漫画家の初期作品や、すでに人気を確立していた作家が新たな表現に挑んだ作品なども含まれていた。連載期間こそ短くても、その作者ならではの個性的な発想や作風が強く感じられ、今なお一部のファンから支持されている作品もある。
そこで今回は、80年代末から90年代に生まれ、惜しくも短期終了となった『週刊少年ジャンプ』の名作を紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■怪力を持ち合わせた優しい美少女ロボット刑事『AT Lady!』
ひとつ目は、『地獄先生ぬ~べ~』(原作・真倉翔さん)の作画としても知られる岡野剛さんが、「のむら剛」名義で発表した連載デビュー作『AT Lady!(オートマティック・レディ)』。『週刊少年ジャンプ』1989年52号から連載が始まったSFギャグ漫画だ。
物語の中心となるのは、科学技術を悪用した組織犯罪に対抗するために警視庁が開発した女性型ロボット刑事「ATレディ」7号。見た目こそ美しいが怪力以外に取り柄がなく、生みの親である春田警部の指示を無視して暴走したり、事件解決どころか騒動をさらに大きくしたりと周囲を振り回していく。
また、悪の天才科学者・松戸凶授をはじめ、個性的なキャラクターも数多く登場。短い作品ながら毎回異なるテーマが描かれ、時折差し込まれるお色気描写やドタバタギャグ、迫力のアクションシーンなどがテンポよく展開された。
しかし、同作の連載は長くは続かず、集英社『ゼブラック』に掲載された作者のインタビューによれば、第1話こそ好スタートを切ったものの、第2話で順位が急落。その後低迷し、いわゆる「10週打ち切り」の憂き目にあったことを明かしている。
のちに読み切り版なども収録した全2巻のコミックとして刊行された本作。後年の代表作である『地獄先生ぬ~べ~』とはジャンルが異なるものの、表情豊かなキャラクターや、緊迫した場面にも遠慮なくギャグを挟む岡野さんの作風を楽しめる初期作品である。


