1980年代のバブル期、日本は空前の好景気に沸いていた。その熱気を象徴するかのように、テレビ界でもエネルギッシュなお笑い番組が数多く制作、放送されていた。
中でも強い印象を残したのが、1985年から日本テレビ系列で開始された『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(以下、『元気が出るテレビ』)である。
この番組では、仕掛け人が突然現れ一般人を巻き込んだり、無名の素人が一躍人気者になったり、数多くの人気企画があり、ブームを作り出した。出演者のみならずスタッフまでもが体当たりで笑いを追求し、日曜の夜のお茶の間を熱狂させたものだ。
そんな『元気が出るテレビ』を現代の視点から振り返ってみると、「今の地上波では絶対放送できない!」ともいえる過激な内容も多い。今回は、当時の熱気をそのままに、今では考えられない「あり得ない伝説の企画」の数々を振り返る。
※本記事には作品の内容を含みます
■『元気が出るテレビ』の爆笑企画といえばこれ「早朝シリーズ」
『元気が出るテレビ』では数多くの名物企画が生まれたが、中でも視聴者を爆笑の渦に巻き込んだ過激な企画が、「早朝バズーカ」に代表される「早朝シリーズ」である。
この企画は、ターゲットとなる芸能人が寝ている部屋へ早朝に忍び込み、いきなりバズーカ砲を撃って起こすという、いわば「ドッキリ」だ。
多くの芸能人がターゲットになったが、特に元ギニア外交官でタレントとしても活躍するオスマン・サンコンさんへの一幕はもはや伝説だ。
迷彩服を着てバズーカ砲を持った仕掛け人3人がサンコンさんの就寝部屋へ侵入し、寝ている彼に向けて、合計3発ものバズーカ砲を凄まじい音とともに発射。瞬く間に部屋の中は白煙に包まれ、その中で何が起きたか分からず呆然とするサンコンさんの表情が、視聴者の爆笑を誘った。
また似たような企画に「早朝ロデオ」がある。ターゲットとなったタレントの見栄晴さんが寝ている部屋に、島崎俊郎さん率いる仕掛け人たちが侵入。前夜から仕込んだ板ごと見栄晴さんを外に運び出し、彼の足を紐で馬に繋ぐ。そしてピストルの合図とともに馬が走り出し、寝ている見栄晴さんを泥の地面で引きずり回すという、ドッキリの常識を超える内容だった。
当時、これらの放送を見ていた筆者は涙が出るほど笑った記憶があるが、改めて振り返ってみると、現代ではまず放送不可能かもしれない。しかし、こうした過激な企画が当時の視聴者の心を強く掴んだこともまた確かなのである。
■抗議電話が殺到した!? 伝説の「すべり台雪見風呂」
放送された企画の中には、視聴者から抗議電話が殺到する事態に発展したものもある。その代表格が、「すべり台雪見風呂」だ。
この企画の舞台は温泉。ターゲットの男性が脱衣所で服を脱ぎ、用意された滑り台を滑るとその先が屋外に繋がっており、一糸まとわぬ姿のまま外へ放り出されるという企画であった。
特に有名なのが、湯沢温泉を舞台とした回である。ターゲットとなった男性は裸のままスキー場のゲレンデに放り出され、大勢の一般客の前で一糸まとわぬ姿を晒すことになった。現代であれば炎上必至の光景だろう。
ちなみにこの企画のターゲットには一般人だけでなく、元プロボクサーの渡嘉敷勝男さんや、お笑い芸人のぼんちおさむさんといった著名人も含まれていた。
この企画は『元気が出るテレビ』の中でも特に“悪名”が高かったようで、番組10周年を記念して日本テレビが出版した書籍『たけしメモ』によると「日本一男のケツが出てくる番組として抗議電話が殺到。ついに上層部より“ケツ禁止令”が出る」と記されているほどであった。
あらわな姿の男性が次々と滑り台から外へ放り出されるという内容は、もう現在では観ることができない企画なのは間違いない。


