■インパクト大のバラエティに富んだ敵キャラたち
『MOTHER2』を象徴する糸井節は、敵キャラにも表れている。特に「こんな名前をつけるなんて」と思うような独特のネーミングセンスが目を引く。
たとえば、いかにも弱そうな容姿を自虐するかのような「オレナンカドーセ」や、タコに似た姿をしたロボット「マル・デ・タコ」など、遭遇した瞬間にプレイヤーを笑わせにきているような敵キャラも多く、どこか憎めなかった。
ボスキャラにも他のゲームにはない強烈なインパクトがあった。ギーグの部下である「ゲップー」というボスは、実際のゲップ音をサンプリングしたという効果音を発し、生理的な嫌悪感を際立たせていた。
また個人的に印象深いのが、『MOTHER2』ではエリアごとに、まるで雰囲気の異なる敵が現れることだ。たとえば幻影世界である「ムーンサイド」では、脳みそのような姿をした「うしなわれしきおく」や、芸術作品を模した姿をした「なぞのゲージュツ」といった妙な姿の敵が登場する。
主人公のネスの心の中の世界である「マジカント」では、目玉だけの姿が特徴的な「でんげきビューン」や、棒人間のような「ジッパヒトカリゲ」といった異色の敵キャラが現れる。
現実世界を舞台にしながら、唐突にファンタジー的な世界観の敵に遭遇する展開に魅了される。その何でもありなカオスな雰囲気も『MOTHER2』の良さなのかもしれない。
冒険のフィールドが変わっても同じような敵ばかり登場するRPGも少なくないが、『MOTHER2』では敵キャラのビジュアルや名前まで印象に残っているものが多く、そこは純粋に凄い部分といえるだろう。
今回は、筆者が『MOTHER2』で特に印象に残っている部分だけを厳選したが、他にも魅力的な要素が詰まっている。これが30年以上も前に生まれたスーパーファミコン時代のゲームというのが、信じられないほどである。
現在でも「Nintendo Switch Online」などを利用すれば、現行のゲーム機でプレイできるので、この機会にスーファミ時代の伝説的なRPGに触れてみるのはいかがだろうか。


