■最終試験、ゼーリエだけが見抜いたラント最大の秘密

 そして、ラントに関する驚きの事実が明かされたのが最終試験だった。この最終試験は、大陸魔法協会の創始者である大魔法使い・ゼーリエとの一対一の面接であり、一級魔法使いにふさわしい資質があるかを見極められるというもの。

 受験者を淡々と裁定するゼーリエだったが、ラントと対面するなり「…お前ふざけるなよ」と呆れたように口を開く。続けて「これは一級試験だぞ。 一度も試験会場に来ない馬鹿がどこにいる?」と。

 そのゼーリエの言葉通り、試験期間中、ラントは一度も本体で会場を訪れていなかった。第一次試験、第二次試験はもちろん、そしてゼーリエの目の前にいるラントでさえ、すべてが分身だったのである。その間、本体は遠く離れた故郷の村で、のんびりとティータイムを過ごしていたのだから、その大胆さに感心する。

 ゼーリエからは、その卓越した魔法技術はもちろん、試験を分身のみで乗り切ろうとした度胸も含めて高く評価され、ラントは見事一級魔法使いに合格。最後の最後に明かされたこの衝撃の種明かしは、多くの読者も驚かせた。

 

 今のところラントは登場シーンこそ決して多くない。しかし、第一次試験で見せたクールな立ち回りやユーベルとの不思議な関係性、そして最後に明かされた「本体は一度も試験会場へ来ていなかった」という衝撃の真実によって、読者に強烈なインパクトを与えた。

 本心も本体も容易に見せない一方、時折のぞかせる優しさや責任感もまた、彼のミステリアスな魅力を引き立てる要素だ。ユーベルが彼の魔法だけでなく、ラントという人物そのものに強く惹かれたのも、当然のことなのかもしれない。

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