正解は考察じゃない…!?『VIVANT』情報過多すぎる爆走ドラマの「最も正しい楽しみ方」【かんそうの週刊ドラマレビュー】の画像
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 人気ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。今回は、満を持して夏クール最大の話題作『VIVANT』(TBS系)をピックアップ。怒涛の情報量で暴走する本作の「最適な味わい方」を、数々の作品を鑑賞してきたドラマウォッチャーの視点から語ります!

 

 ついに開幕した日曜劇場『VIVANT』シーズン2。1話目となる「第11話」からいきなり脳みそをフル回転させられる勢いが凄まじかった。

 前シーズン最終回で乃木憂助(堺雅人)が実の父であるノゴーン・ベキ(役所広司)を撃ち抜いた直後のあのシーンから、ほぼアズスーンアズで物語は再加速する。祠に置かれた赤い饅頭を見た瞬間の乃木の顔が、まさに「またかよ……!」と絶叫しそうな表情だったのが印象的だ。

 決着したはずの因縁を綺麗に蒸し返しつつ、即座に仕事を再開させる無慈悲さ。大仕事を終えたばかりの主人公に「まだ休むなよ」と赤い饅頭で呼び出す別班上層部のブラック企業体質は、相変わらず容赦がない。

 乃木が通された謎の部屋で登場したのが、超高性能対話型AI「ハヤト」(声:高山みなみ)。信じられんほどの超膨大なデータを瞬時に解析し、別班員拉致事件に関わる情報漏洩の可能性を「◯◯の裏切り確率23パーセント」などと数値で提示してくる。

 なんだその数字は。23パーセントって何の意味があるんだ。裏切るか裏切らないかのゼロヒャクじゃないのか、こういうのは。確率提示の妙なリアルさが逆に笑えるし、声優の高山みなみさんの無機質でありながら頼もしい響きが、某名探偵を連想させて余計にシュール。

 どうやら黒須(松坂桃李)を含む別班員5人が謎の部隊に拉致され、アゼルバイジャンやらキプロスやらへ運ばれたらしい。さらに、最も可能性が高いとされる新庄(竜星涼)がどこへ行ったのか。知らん共和国の知らん場所になにかのカギがあるとか、ないとかを物凄い早口で各々が説明してくる。

 そして乃木はバルカにいる弟・ノコル(二宮和也)を訪ね、ブルーウォーカー・太田梨歩(花岡すみれ)の力も借りて追跡を開始。キプロスでかつてのテント幹部・アリ(山中崇)を捕らえる。さらにフローライトの事業話やら、謎の工作員やら、情報量が多すぎて考える気力すら削がれる。展開が目まぐるしい。まったく頭が追いつかない。すごすぎる。なにが起きてるのかまったく分からないが「すごい」ということだけは確かに分かる。

 第12話ではさらに加速。新庄が首謀者である可能性が高いとハヤトが推察し、乃木の前に新たなる別班が姿を見せる。そして長野(小日向文世)が単なるエロジジイではなかったという事実が浮上し、別班だった可能性が取り沙汰される。もはや誰が別班でも、なんでもいい。登場人物「全員別班」なのではないかとすら思えてくる。自分も別班のような気がしてきた。

 このドラマを「考察ドラマ」として楽しんでいる人も多いが、正直ここまでブッ飛んでいると考察するのが良い意味でアホらしくなってくる。なにも考えず頭カラッポで鼻をほじりながら「すげー」と呟くのが、『VIVANT』の正しい楽しみ方なのかもしれない。

 静かに展開する他のドラマとは違い、『VIVANT』は派手に、派手に、派手に暴走するのが気持ち良い。スケールがデカすぎて笑い、展開が無茶苦茶すぎてまた笑う。情報過多で頭が追いつかないのに、不思議と次が待ち遠しい。

 特に、AIハヤトが象徴的だ。こいつの存在は現代の情報過多社会そのもの。人間が必死に考えても追いつかない速度で世界が動く。乃木ですら「まだ大きな渦の中にいるのかもしれません」と呟く通り、視聴者も一緒に渦に巻き込まれていく。

 シーズン1で「テント」を追った物語が、今度は別班そのものを飲み込む危機に変貌した。黒い企業体質の別班が、自分たちの仲間を守るために再び世界を駆け巡る。皮肉であり、痛快。乃木の休む暇のなさは、もはやコメディの領域。薫(二階堂ふみ)やジャミーンとの再会の温もりも束の間、すぐに次の任務。家族の絆と国家の機密が交錯する中で、乃木の「生きる」というテーマがより鮮明に浮かび上がる。

 『VIVANT』とは「生き生きと」という意味だが、このシーズンでは「暴れ生きる」と言い換えてもいい。あと絶対に薫は裏切り者であってほしい。

 『VIVANT』は、相変わらず「まともなドラマを拒否する」狂気的エンターテインメントだ。乃木には永遠に休ませず、視聴者も一緒に踊らせ続けてほしい。シーズン2も、このペースで世界を巻き込み続けてくれ。

 『VIVANT』シーズン2は、ただの続編じゃない。ドラマの常識をぶっ壊しにきた、完全な新章。頭を空っぽにして、ただ「すげー」と叫び続けるだけ。それが一番の正解である。

 

■著者プロフィール
かんそう
ドラマを愛するブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

 

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