アニメ史に残る「伝説の美少女」が起こした熱狂…アニメファンを魅了した昭和末期の傑作『超音戦士ボーグマン』の画像
『超音戦士ボーグマン LOVERS RAIN』メインビジュアル (C)1990 TOHO CO., LTD./ASHI PRODUCTIONS CO.,LTD.

 昭和末期、アニメ界に現れたSFアクション『超音戦士ボーグマン』。本作は1980年代の後半に一世を風靡した「プロテクター・ヒーロー」の枠を飛び越え、多くのアニメファンを熱狂させた作品である。

 アニメ制作を担当したのは、『戦国魔神ゴーショーグン』や『魔法のプリンセス ミンキーモモ』などの話題作を世に送り出した葦プロダクション。

 舞台となった未来都市にふさわしい、さまざまなハイテク兵器が登場し、劇中の演出やセリフは当時流行した「トレンディドラマ」のようにスタイリッシュ。また、同作の主題歌を本格ロックバンド「EARTHSHAKER(アースシェイカー)」や、EARTHSHAKERのボーカル西田昌史氏とSHOW-YAのボーカルの寺田恵子氏によるユニット「HIPS」が担当するなど、都会的なロックサウンドが作品世界を彩った。

 当時はアニメ雑誌の表紙を飾るなど、大きな反響を呼んだ昭和末期の話題作『ボーグマン』をあらためて振り返ってみたい。


※本記事には作品の内容を含みます。

■日常と非日常のギャップが魅せる「教師と生徒」の絆

 アニメ『超音戦士ボーグマン』は、1988年(昭和63年)4月13日から日本テレビ系列で全35話が放送された。

 1999年に東京に隕石が落下し、首都は壊滅。物語の舞台となるのは、それから31年が経過した2030年、東京湾上に建設された科学都市メガロシティである。だが、突如現れた妖魔の集団「妖魔結社GIL(ギル)」により、メガロシティは侵略を受ける。

 そこで響リョウ(声:松本保典さん)、チャック・スェーガー(声:井上和彦さん)、アニス・ファーム(声:鷹森淑乃さん)の3人は、特殊装甲「バルテクター」をまとう戦士「ボーグマン(サイボーグ)」として、人類の未来をかけた戦いに挑むという物語だ。

 本作の画期的な点として、メインキャラ3名の「教師設定」が挙げられる。彼らが通う「サイソニック学園」は、表向きは普通の学校だが、実はボーグマンの秘密基地でもある。

 その学園の小等部(小学校)で、リョウは見習い国語教師、チャックは体育教師、アニスは音楽と算数の教師を兼任していた。ボーグマンとして戦う姿だけでなく、生徒たちとの交流まで描かれたことで、日常と非日常のギャップが際立っていたのが印象的である。

 まだ16~17歳の彼らは、先生と呼ぶには少々若すぎるが、生徒たちからはしっかりと慕われていた。だからこそ「大切な教え子たちを絶対に守る」という動機にもつながり、ヒーローとしての使命感を強調、個々の魅力を深く掘り下げてくれた。

■菊池通隆氏が生み出したキャラの魅力……美少女「アニス」が誇った圧倒的人気

 本作が人気を集めた大きな理由のひとつとして、菊池通隆氏による艶っぽいキャラクターデザインが挙げられる。菊池氏といえば「麻宮騎亜」の名義で漫画『サイレントメビウス』なども手掛け、凄まじい人気を集めたクリエイターである。

 アニメの作画も素晴らしく、躍動感あふれるアクションや柔らかな肉に喰い込む硬質なプロテクターの描写など、手描きのセル画アニメで高いクオリティの映像を実現していた。

 また、従来の「サイボーグ」設定のある作品は重くて暗いイメージのものが多かったが、本作でサイボーグ手術を受けた3名はスタイリッシュな存在に昇華。人々のため、その力を前向きに行使する姿は、まさに新時代のヒーロー像だった。

 そして「バルテクター」を装着することで強化されるシステムは、特撮作品の十八番であった「等身大のヒーローがスーツを装着して戦う」スタイルを彷彿。腕につけたレシーバーに「ボーグ・ゲット・オン!」の掛け声で転送・装着される行程は抜群にかっこよかった。

 リョウ専用のバイク「ロードサンダー」には人間くさい人工知能「サンダー」が搭載。音声入力や人間のようなAIの存在など、今では現実のものとなりつつある未来的なガジェットも数多く登場し、魅力にあふれていた。

 そんな作品の人気を決定づけたのが、アニス・ファームの存在である。彼女は妖魔の攻撃によって重傷を負い、緊急でサイボーグ手術を受けて一命を取り留めたという経緯がある。そのため、普通の生活を選ぶこともできたが、彼女は目の前の子どもを救えなかった後悔から戦う道を選ぶ。

 健気な美少女アニスのほほ笑みは視聴者をとりこにし、戦闘時にはミニスカートで容赦なく敵を蹴りあげる。容姿と芯の強さのギャップで、特に男性ファンから絶大な支持を受け、美少女ブームのけん引役になった。

 当時アニスの人気は絶大で、アニメ雑誌の表紙を単体で飾り、アニメキャラクターの人気投票で1位を獲得。「アニス・ファーム カレンダー」「AM文庫Jr.アニスにおまかせ!」といった、彼女単体の雑誌付録なども作られたほどだ。

 なお、放送終了から40年近くが経過した2025年にもアニスをイメージした香水が発売されるなど、彼女の人気は衰えを知らない。

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