スマートフォンが普及する以前の昭和の時代、夏休みの子どもたちにとって、テレビは最大の娯楽の1つであった。ふだんは学校があるために見られない、平日の午前中に放送されているワイドショーをゆっくり見るのも楽しかった記憶がある。
テレビ局側も、夏休みには子どもたちが視聴者層に加わることを踏まえてか、ワイドショー内で子ども向けの内容を放送することも多かった。その代表格が夏休みの定番だった「怪奇特集」だ。
いつもは芸能ゴシップネタが中心の番組であっても、この時期ばかりは“心霊特集”といったオカルト企画が数多く組まれたのである。
今回は当時の昭和キッズを震え上がらせた、懐かしのテレビ番組を振り返りたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■不気味な声も話題になった『ルックルックこんにちは』
『ルックルックこんにちは』は、日本テレビ系列で1979年から2001年まで放送されていた長寿ワイドショー番組である。平日の8時30分から10時25分までの時間帯に放送された本番組は、司会を沢田亜矢子さんや岸部シローさんらが務め、「ドキュメント女ののど自慢」などの名物コーナーも生まれた。
この番組の夏休み恒例企画となっていたのが「心霊特集」である。実際に心霊体験をした人の声を参考にした事件レポートや、「世界の怪奇心霊特集」などが放送され、当時の子どもたちを震え上がらせた。
また同番組の放送中、原因不明の謎の声が混入するというハプニングも語り草になっている。特に、女性出演者が話している最中、背後から「11時の方向からカメラをまわせ」という男性の声がはっきりと聞こえた回は、テレビ史に残る怪奇現象として有名だ。
今あらためて聞いてみると、別の音声が混線して偶然入り込んだようにも思える。しかし、映像や音響の技術が発展途上であった当時、突然聞こえてきた謎の声に恐怖を覚えた視聴者は多かったはずだ。
『ルックルックこんにちは』の心霊特集は、夏の朝から子どもたちの肝を冷やす、まさに清涼剤のような存在でもあった。
■まさに恐怖の昼番組!? お昼のワイドショー『あなたの知らない世界』
昭和の恐怖番組といえば、これを思い出す人も多いだろう。1973年から1997年にかけて日本テレビ系列の『お昼のワイドショー』や『午後は◯◯おもいッきりテレビ』の中で放送された『あなたの知らない世界』である。
視聴者から寄せられた実際の恐怖体験を再現VTRで紹介する企画で、そのショッキングな映像と演出は当時の子どもたちにトラウマを植えつけた。
突如、画面いっぱいに血まみれの女性が「バーン!」と現れたり、生首が空中に浮かんだり……そんな恐怖描写の数々は、とてもお昼の番組とは思えないほど刺激的であった。
怖いと分かっていながらも見るのをやめられず、夜トイレに行くたびに「見るんじゃなかった」と後悔した経験は、当時の子どもたちの“あるある”だったかもしれない。
また、各VTRのタイトルもインパクトが強いものが多く、たとえば「恐怖の夏休み! 亡霊渦巻く魔界のトンネル」といった不穏な題名と、それに添えられた不気味な絵柄が視聴者の恐怖をかき立てた。
筆者は怖いながらも毎日のように本番組を視聴していたが、怖がりのいとこはそのテロップを見ただけで半べそになり、チャンネルを変えていた記憶がある。『あなたの知らない世界』は昭和の子どもたちにトラウマを与えた、恐怖番組の代表格ともいえる存在だった。


