■アニメ制作の苦悩が描かれた異色の異世界ストーリー『全修。』
次に取り上げるのは、2025年放送の『全修。』。タイトルの全修とはアニメ制作用語で「オールリテイク」を意味している。若くして成功をおさめた天才アニメーター・広瀬ナツ子が、幼いころから愛してきた劇場アニメ「滅びゆく物語」の世界へ迷い込み、自らの作画で物語を書き換えていくストーリーだ。
従来の異世界転生ジャンルの面白さをベースにしつつ、「創作とは何か」を問い掛ける異色のファンタジーとしても注目を集めた本作。物語の肝となる劇中劇「滅びゆく物語」のストーリーが、ナツ子が描いた“修正”によって変化していく展開で、毎週のように予想を裏切られる作風はSNSでも大きな話題となった。
また、クリエイターならではの苦悩や、プレッシャーを真正面から描いたストーリーにも共感する声が多い。周囲から天才と称賛されながらも、人の感情を理解することが苦手だったナツ子が、作品作りにおいて本当に大切なものを少しずつ学び、成長していく過程も見どころだ。
ナツ子が終盤にかけて「滅びゆく物語」の世界を塗り替えていくダイナミックなシーンは、MAPPAの強みである大胆な画面構成と、スケール感あふれる映像演出が存分に発揮された場面といえるだろう。
■ベテラン体操選手の情熱と家族の絆が心を揺さぶる『体操ザムライ』
最後に紹介するのは、2020年に放送された『体操ザムライ』だ。ケガで成績不振に陥ったベテラン体操選手・荒垣城太郎が、引退の危機から再び立ち上がる姿を描いた作品である。
放送開始時、体操競技を題材にしたオリジナルアニメという珍しさに加え、ベテラン選手を主人公に据えたストーリーが話題に。若手選手の成長ではなく、衰えと向き合うアスリートの葛藤を真正面から描く展開は新鮮で、「大人だからこそ刺さるスポーツアニメ」として人気を広げた。
また、城太郎の一人娘・荒垣玲との親子関係も物語の大きな軸になっている。体操と子育ての間で悩みながら父親として成長していく城太郎と、父を思いやる玲の絆が、作品にたしかな感動を与えている。
さらに個性的な忍者姿の少年・レオナルドや、カタコトの日本語を話すペットの鳥・荒垣BB(あらがきビッグバード)といった個性的なキャラクターも登場し、コミカルな掛け合いも魅力である。
体操競技のしなやかな動きや空中演技の迫力、選手たちの細かな表情や心理描写などMAPPAの持ち味がしっかり生かされている点も見逃せない。当時のSNSでも「何度も泣いた」「もっと評価されるべき名作」といった感想が多く、スポーツアニメの枠を超えた感動作として現在も高い支持を集めている。
今回紹介した作品以外にも、MAPPAは『ユーリ!!! on ICE』や『ゾンビランドサガ』、『LAZARUS ラザロ』などのオリジナルアニメを数多く生み出している。
世界観や映像美、アクションシーン、そして原作のない作品だからこその先の読めないストーリーで多くのアニメファンを魅了してきたMAPPA。設立15周年という節目を迎えた今、これらのオリジナルアニメに目を向けてみるのはいかがだろうか。


