■武蔵との戦いでまさかの大活躍
やがて迎えた武蔵との一戦。本部はいきなり目潰しからの奇襲を仕掛けたかと思えば、毒入りのタバコや酒を勧めるなど、開幕早々なんでもありの姿勢で挑んだ。その後も、煙幕で視界を制限して鎖で刀を奪い取り、その鞘に火薬を仕込む。
返した刀を爆発させ、分銅で顔面や脳天に強烈な攻撃をお見舞い。さらに手槍を使って隙を作ってから、メリケンサックで容赦なく殴りつけた。
手段を選ばず、あの手この手で武蔵を追い詰めていく本部。だが、もちろん武蔵はその程度で倒せるような相手ではなく、本部の出方に感心しながらも反撃を開始する。
しかし本部は、格闘家らしからぬ防御対策も万全だった。体中に防具を仕込み、斬られた箇所は切断されず骨折だけで済んだ。斬られることを物ともしない本部には怖いものはない。最後は、満身創痍になりながらも武蔵の背後に回り込み、折れた自身の腕を使って執念の絞め落としに成功する。
本部が成したまさかのジャイアントキリングに、見守っていたファイターたちは心からの拍手を贈った。一体誰がこんな結末を予想していただろうか。
『刃牙』シリーズに登場する現代の格闘家のほとんどは、素手での戦いを前提としており、武器の扱いや対処に不慣れな者が多い。そんな中、本部だけがあらゆる武器に対しての知識、経験を持っており、そのうえで修練を重ねてきた。
しかも武器だけでなく、近代科学が生み出した防具や毒も使用する。あらゆる状況を想定して万全の備えをしてきた本部には、何をしてくるか分からない怖さがあるのだ。
そんな本部の戦い方を見ていると「強さとは何か」「勝利とは何か」をあらためて考えさせられる。殺し合いの中には卑怯という言葉はない。そのフィールドにおいて本領発揮できるという意味で、本部は他のファイターとは一線を画す存在といえるだろう。
本部は『刃牙』シリーズの初期から登場するキャラクターでありながら、長らく不遇な存在だった。それは格闘家としてクリーンに戦う舞台が中心に描かれ、彼の真価を存分に活かせる場所ではなかったためである。
武蔵との戦いを通してようやく本領を発揮でき、作中でも言われている通り「報われた」という言葉がぴったりだった。そんな本部が輝いた瞬間を、ぜひ漫画とアニメの両方で味わってみてほしい。


