■元一級術師の変人が、妻を愛するナイスガイへ「東堂葵」

 『呪術廻戦≡(モジュロ)』の中にはほぼ登場しなかった一級術師・東堂葵。元一級術師として存在は認知されているものの、消息不明ということで本格的な登場はなかった。

 だが、虎杖とはいまだに連絡を取り合っており、シムリア星人などを含めた元凶の存在は伝わっていることが21話にて判明。そして、単行本最終巻で描き下ろされた追加エピソードにて、その後の様子が明らかになった。

 時系列としては新宿決戦から約68年が経過し、すでに80歳になっていた東堂葵。元一級術師という肩書を持ちながらも、番外編では海外の砂漠地帯を1人の女性とともに歩く穏やかな姿が描かれている。この女性は妻であることも判明しており、老齢となった現在も「マイワイフ」「ダーリン」と呼び合うなど、仲睦まじい夫婦であることがうかがえる。

 本作でも虎杖以外には嫌われており、作中屈指の変人として知られる東堂のパートナーはいったい誰なのかという点は、読者の間で大きな話題を呼んだ。

 もちろん断言はできないが、ツインテールという特徴的な髪形や体格、そして東堂が本編を通して抱き続けていた執着を踏まえると、彼がかつて熱烈に推していたアイドル「高田ちゃん」であると考える者は多かったことだろう。

 さらに追加エピソードの中では、現役一級術師である宮國千陽が、東堂と虎杖の両方から指導を受けた教え子であるということも明かされている。宮國は10歳前後のころに東堂に引き取られ、その後は虎杖からも直接指導を受けたという。

 また、宮國は東堂のことを「稀代の愛妻家」と表現している。かつて奔放な言動や独特の恋愛観で読者を沸かせた東堂だったが、その心温まる事実は多くのファンにとってうれしい驚きとなった。

■虎杖の孤独を見届け、その明るさを肯定した存在「釘崎野薔薇」

 虎杖や東堂の消息がしばらく明らかにならない中、いち早く『呪術廻戦≡(モジュロ)』本編に登場したのが釘崎野薔薇である。第13話「受諾」にて、釘崎は虎杖の近況を語る重要な役割を担った。

 釘崎の証言によれば、虎杖と最後に顔を合わせたのは、天使・来栖華の葬式の場だったという。老いることのない体質となった虎杖は、歳を重ねていく釘崎たちを見るたびに、申し訳なさそうな表情を浮かべていたと語る。

 かつての仲間たちの死を1人だけ見送り続けなければならない、不老ゆえの孤独に虎杖が静かに苦しんでいる様が、釘崎の言葉を通して浮き彫りとなった。術師として最強レベルの実力を持っていても、繊細な面は変わらないことを思い起こさせる内容だった。

 そして物語が進み、最終話「明るい未来」では、虎杖の方からパンダとともに釘崎の元へ赴いている。シムリア星人との接触を経験したことで、後世の術師および日本社会への懸念と、その対策を前向きに考えるようになった虎杖の言葉を、しっかりと正面から受け止めていた。

 また、祖父の遺言である「人を助けろ」という指針に立ち返り、かつての明るさと前向きさを取り戻した虎杖が協力を求める姿勢に対し「……いいじゃん」と簡潔ではあるが、たしかに肯定。数十年という時間が経とうとも、意見や感想を何の忖度もなく言える数少ない存在であることがよく分かるシーンだった。

 釘崎がフードを外して素顔を晒すのは心を許した相手の前だけ……という描写も含め、2人の間に流れる信頼関係の深さが丁寧に描かれている。孤独を抱えながらも、人を助けることを選んだ虎杖を誰よりも近くで見守り続けた釘崎の存在は、本作における救いの象徴といえるだろう。

 

 『呪術廻戦≡(モジュロ)』では、本編で最強クラスの実力を誇った虎杖悠仁をはじめとする主要人物たちの「その後」が、それぞれ異なる形で描かれていた。約68年という時を経ても色あせない彼らの生き様は、本編のファンにも大きな感動をもたらしたのである。

 

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